zero / minus

ゼロの聖者 ゼロの静寂 ゼロの雪原
中央線の乗客は互いに無関心でそれぞれの駅で下りていく
ゼロの落雷 ゼロの逆光 ゼロの幻影
東京駅の雑踏に紛れ出口も岐路も見失う


ゼロの落下 ゼロの崩壊 ゼロの散逸
新幹線の発車するいつものアナウンスがホームに流れる
ゼロの自衛 ゼロの痙攣 ゼロの乱調
空いてはいても席はなくデッキに立ち客車を見つめる


ゼロの冷徹 ゼロの放心 ゼロの錯綜
見知らぬ誰かに話しかけても同じ世界に属していない
ゼロの明滅 ゼロの反転 ゼロの跳躍
重すぎるリュックサックを下ろし、目を閉じる