鼾というもの

寝ていたら妻の苦しむ声で目が覚めた。
時計を見たら午前4時。
僕の鼾の音がうるさいだけではなく、
低周波のようになって頭の奥がズキズキと痛むという。
その箇所をさすっていたら少しずつよくなって、
痛みは鼻の方に抜けていった。


「風車の周りに住む人が音で眠れなくなるっていう、あれに似てる」
「そんなにひどいのなら起こしてくれればいいのに」
「起こすのもかわいそうかなって。
 それに寝たらまた鼾をかくから変わらない」


前から鼾をかいているとは聞いていたが、そんなにひどかったとは。
毎日欠かさず鼾をかいているとは思わず、
昨日は新幹線で東京に戻ってきて疲れていたからかもしれない。
しかも乗っている間けっこうアルコールを摂取した。


最近はレーザー手術も盛んだという。
日帰り手術が可能、金額も3万ほど。案外リーズナブル。
部分麻酔で口蓋垂いわゆるのどちんこの周りをレーザーで焼いて気道を広げる。
切除するわけではないけど、なんかちょっとぞっとする。
花粉症のレーザー治療の鼻の奥を焼くときのあの嫌な感じが…


それ以外になんかないか調べてみると
枕の高さを変えるというのがある。
枕は高くても低くても気道を塞ぐのだという。
あとは寝るときに口や鼻にテープを貼るとかマウスピースをはめるとか。
つまり、口呼吸ではなく鼻呼吸ができるようにする。
僕は小さい頃耳鼻科に通っていて鼻がよくなかったので口呼吸ばかりだった。
その名残で疲れたときにはついつい口が開いて口呼吸となるかもしれない。
しかし、妻に聞いてみると鼾をかいているとき口を開けてはいないのだという。
鼻の奥が鳴っているような。


その後妻と話していて、横向きに寝るといいという。
そこだ! と気付く。
普段、僕が右側、妻が左側と場所が決まっている。
いつもだと妻の方が布団に入るのが遅い。
それが昨晩は朝早く起きようと寝るのが早かったため
楽な姿勢になろうと右を下にしてうずくまり
妻に背を向けるのではなく、仰向けに寝ようとつとめた。
そこが逆効果だった。


僕にとって鼾の解決方法はレーザー治療ではなく
妻と夫が布団の中の位置を交換することか。
案外そういうものかもしれない。