『Live at SHIBUYA PUBLIC HALL 1985.09.29』

日曜の朝、ジョギングしながら聞く音楽を選んでいたら Barbee Boys が目に留まる。
数年前に出た『1st Option』の30周年記念盤の2枚目、3枚目が
『Live at SHIBUYA PUBLIC HALL 1985.09.29』となっていて、渋谷公会堂でのライヴ。
初の全国ツアーの初日。ここから Barbee は3年後の東京ドームへと上り詰めていく。


曲目は「暗闇でDANCE」「チャンス到来」「負けるもんか」といった代表曲に限らず、
1st から「Shit! Shit! 嫉妬」「プリティドール」など、
2nd から「ラストキッス」「タイムリミット」など、
3rd から「あいさつはいつでも」と「ラ・サーラ」
そしてB面曲の「瞳の奥でまばたくくな」「翔んでみせろ」「Midinight Call」や
未発表曲「わたしぢゃないの」と当時のレパートリーをほぼ全てぶち込んでいる。


MCで2枚目のアルバムの録音を終えたばかりというので
どの曲が新たに作ったのかわからないけど、
典型的な、デビュー前からの楽曲を1枚目と2枚目にふりわけて
アルバムを出したバンドなんじゃないかな。
出し尽くした後で3枚目の曲をつくるときに一皮むけて、
それでタイトル通りブレイクすることができた。


まだ新人なのにカバー曲が一切ないんですよね。
KONTA と杏子のかけあいで男女のいざこざやすれ違いを歌うというスタイルも
デビュー前から固まっている。
最初からバンドとしての完成度が高かった。
そうなると逆に更なる進化というのは考えにくく、
あとはバンドとしての存在感というか密度を高めていって曲のバリエーションを増やすだけ。
時代をイッキに駆け抜けて4枚目『Listen!』で音楽的なピークへ、
5枚目「√5」で幅広く人気を獲得して、
6枚目で行き詰まって解散するというのも今ならよくわかる。


いまさのギターはディストーションなしでサラサラした音。
ほぼカッティングでソロもほとんど弾かない。
長めのソロは「ラストキッス」の間奏が長くなっていてそこで弾いたぐらいか。
今こうやって聞くと 1st よりも 2nd でフレーズのバリエーションが増えているように思う。
1st はどちらかというと空間を埋めるためのギターに終始していた。


エンリケのベースも小磯のドラムも安定していて2時間聞いても疲れない。
「わたしぢゃないの」は(恐らく)リズムボックスとエンリケのベースだけで歌われたり、
いろいろ工夫が効いている。これがデビューして1年の新人なのか!? という。
KONTA による MC ではツアーの暇なときにはホテルに置いてある聖書を読むという話をしていて、
創世記のアダムとイヴのくだりを引用してから
「ふしだら vs よこしま」に入っていくという展開もうまい。


なんでこんないい演奏を30年寝かせていたのだろう。
当時ライブアルバムで出していたら評価が変わっていたのでは。