言葉を失う

こういう小説を思いつく。
もしかしたら既にあるかもしれない。

主人公は原因不明の不思議な病気によって、
一日にひとつずつ言葉(単語)を失っていく。
それを日記形式でつづっていく。
最後に残される言葉は…


泣かせるパターンでありきたりなのは
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10月31日(水)
あいしてる
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↑しかし、自ら日付を書き入れるのは変か


それはさておき、主人公はどういう状態となるか。
言葉を書くことができないということは読むことも聞くこともできないか。
それは考えるということもできなくなるのか。


五感も正常に働くが、それがただ意識に流れていくだけで
記憶はできても評価することはできず、おそらく思い出すこともできない。
ある時点から日常生活を営むことができなくなって、
病院のベッドに寝た切りになるとか。


最後残された3つの言葉が「トマト」「ガジュマル」「そして」だったりすると
そもそも文章が成り立たない。
「ガジュマルそしてトマト」「トマトそしてガジュマル」を日がな一日つぶやき続けるのか。
そして「トマト」だけが最後に残る。
何の意味もなく。


いや、本人にとって重要な言葉が残るべきか。
そうすると妻の名前、息子の名前といった家族の名前が残ったりして、
それはなんだかあざとい。
無作為に失われていくほうがいいか。
同じ泣かせるにしても愛の姿で泣かせるよりも
何の変哲もない、何の役にも立たない言葉が残った悲惨さで泣かせたい。


そもそも言葉を失っていくとはどういう状態か。
その単語を認識できなくなるのか。
失語症失読症とどう違うのか。


というか一日に一つだと終わりまでものすごい日数を要するか。
数十、数百単位でごそっとなくなっていって、
半年から一年間の出来事となるのがよいか。


主人公一人の日記だけだとつらくなってくるので、
例えば妻の日記を交互に並べるという工夫もありか。
主人公の独白だけで力技で押すのもありだが、
その場合『アルジャーノンに花束を』には勝てない。


既に存在してないか調べて、なさそうなら書いてみよう。
しかし「言葉を失う 小説」で検索すると
今回探したいのとは別のことがでてくるので難しい…