音楽ライター見習い

もう1ヵ月以上前、11月のことになるけど、
音楽リスナーの先輩から電話が掛かってきて
「音楽ライターの仕事あるけどやらない?」と誘われる。
「やりますやります!!」と即答。
担当の方を紹介してもらって依頼を受けて、原稿を書いた。
600語でアルバムの紹介をするというもの。
最初2つで、それが出来上がったら3つ追加で。計5本。
メールでやりとりして、終わり。
最初のうちは「これで僕も音楽ライターだ!」とウキウキしていたものの
今回の仕事がなんかにつながるような気配もなく、単発で終わり。
孫受けの署名無しだし。


こんな感じになった。Frankie Goes To Hollywood のベストアルバムの紹介文。
http://wmg.jp/wmlife/imp/frankiegoestohollywood/


他にも The Pretenders で2つあるんだけど、サイトに不備があって参照できない・・・
(認証のポップアップで何度もキャンセルを押すと入れるようになる)
http://wmg.jp/wmlife/imp/pretenders/getclose.html
http://wmg.jp/wmlife/imp/pretenders/crawl.html


後の2つは不採用になったか。ページ無し。
The Pogues と Aztec Camera のそれぞれベスト。


オカムラさん80年代の得意でしょ?」ってことでこのセレクションなんだけど、
見事にどれも不得意なグループで・・・
慌ててCDを買いに行った。
(ちなみに、原稿料は全てこれらのCD代に消えることになる)
The Pretenders は以前書いたけど、その良さを再確認することになった。
それが一番の収穫か。


初めて書いたもんだからぎこちないし、
署名無しの原稿だから無色透明な方がいいのだろうと
ものすごく当たり障りのない文章となる。
しかもネットで調べりゃどっかに載ってそうなことばかりの内容で。
それこそ Wikipedia に書いてあることをそのまま移しても
誰にもわからないんじゃないか・・・
この程度なら要領のいい高校生ならすぐ書けそうだし、
そのアルバムを聞いてなくても書けてしまう。
Frankie Goes To Hollywood なんて正にこのCDをわざわざ買いに行ったのに、
聞く前に知ってることをまずは書いてみたらそれですぐ600語行っちゃって。
ベストだし、買うまでもなかった・・・


難しいのは、オーダーされたアルバムについて書くという正にそこ。
Aztec Camera のベストだったら Aztec Camera のベストについて書かなくてはならない。
いくら 1st が永遠の名盤とされていてその後のアルバムの影が薄くても
1st についてだけ書くというわけにはいかない。
ベストだからいいだろうと最初 Aztec Camera というバンドそのものについて書いたら、
「このアルバムの紹介をしてください」と書き直しを求められた。
「このアルバムが売れるようなセールスポイントを」と。
ふーむ、そういうものなのかとだんだんわかってきて、
できる限り書き手の個性を消して、客観的なプラス・ポイントを挙げていくことにした。
有名なプロデューサーが担当しているとか、全英1位になったとか。
僕の意見というかこのバンドに対する思いなんて特に必要ではなくて
歴史的事実や数値的実績の方がよっぽど人の心に訴えかける。


最初に書いて没になったのはこんなです。

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極論すればAztec Cameraはラフ・トレードから発売された
1st「High Land, Hard Rain」(‘83)だけを持っていればいいのかもしれない。
いわゆる「ネオアコ」という音楽が、
傷つくことを恐れた少年たちが紡ぎだした儚くて切ない音のイバラであるならば、
「High Land, Hard Rain」はその最も咲き誇る、瑞々しい瞬間を捉えたものであるからだ。


しかし、Aztec Cameraことロディ・フレイムは居心地のよい閉ざされた場所から抜け出て、
外の世界へと出て行くことを選んだ。
同世代の優れた音楽というだけではなく、同時代の優れた音楽へ。
例えば、3rd「Love」(‘87)はプロデュースをトミー・リピューマが担当、
演奏にはマーカス・ミラースティーヴ・ガッドといった名手が参加といったように。
また、5th「Dream Land」(‘93)は坂本龍一がプロデュースということで話題となった。


同時代の「ネオアコ」と括られたバンドが次々と解散し、
別なグループやソロで活動していく中で
Aztec Cameraはその名前にこだわって活動を続けた。
このコレクションは1stから年代順に曲を並べることによって、
ロディ・フレイムの辿った音楽的成熟の過程が俯瞰できるのが嬉しい。

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まあそんなわけで、音楽について書く仕事があったら喜んでやります。
生活費を稼ぐためにやるわけじゃないので、格安で承ります。
ネタさえ見つかれば書くのは非常に早いです。
約束や期限というものは守られずにはいられない性格です。
よろしくお願いします。