ニューヨーク その10(5月30日)

okmrtyhk2008-06-08


機内食
ビールを飲もうとしたら5ドルだった。でも、飲む。
機内食って「当たり」だったらツマミとして最高じゃないですか。
「一番絞り」はアメリカ仕様なのか、フルーティーな飲み口のように思えた。
で、その機内食なのであるが、過去最高にまずい。
今までいろんな機内食を食べてきたけど、堂々ダントツのワースト1。
(しかし、本当のワースト1は帰りの方だった・・・)


シーフード or ライスと聞かれて、シーフードにする。
小さな海老なんかをクリーム煮にしてほうれん草入りのラビオリが入っている。
あと、寿司。稲荷寿司と海老、ガリ。日本発ってことだからなんだろうけど。
パサパサしてるだけだし、こんな親切いらないのに・・・と思う。
あとはサラダとパン。デザートに胡桃入りの小さな、甘くて死にそうなタルト。
コーヒーはわざわざ豆をこがしたかのよう。


通路を隔てて向かいの席に座ったおばさん2人と
僕の前に座っていたおばさんがふとしたきっかけで仲良くなって
ずっと大声で賑やかに喋っていた。
嫌でも耳に入ってきて、
「どちらからですか?」「東京です」「東京のどこですか?」「荻窪です」
荻窪ですか?知ってますよ。どの辺りにお住まいで?」「天沼です」
おばさんの1人の家は偶然なのかなんなのか僕の住んでる部屋の目と鼻の先だった。
これがなんかの幸運 / 巡り合わせなのならば、こんなところで使いたくないなあと思った。


中上健次の「枯木灘」をある程度読んだら、眠くなってウツラウツラする。
1時間に1回ぐらい目を覚ましただろうか。
太平洋を渡り、アラスカの上空。マッキンレーの文字が見えた。
少しずつニューヨークに近付いていく。成田からニューヨークまで、約1万キロ。
目が覚めたタイミングがちょうど軽食の時間で、丸パンのサンドイッチを食べる。


到着前の朝食。
ペストリー、クロワッサン、キウイ、ミカン、パイナップル。


特に問題なく到着して、入国審査。特に何もなく終わる。
観光客なのかビジネスなのかってのと何日滞在かってのを聞かれただけ。
一昨年のシカゴや去年のヒューストンよりもおおらかになっている印象を受けた。
911の現場、ニューヨークだというのに。


空港はこれまでに僕が訪れたことのあるアメリカの他の空港と比べて
格段に古くて、くすんでいた。キラキラしたところが何もない。
その空港が夕暮に包まれる。


スーツケースを受け取る。税関も何もなく通過する。
後は空港バスに乗ってマンハッタンのGCT(グランド・セントラル・ターミナル駅)へと向かうだけ。
前半の3日泊めてもらう大学の寮の同期とはそこで待ち合わせ。
この空港バスにどっから乗ればいいのかがよくわからず、まごつく。
男性が話しかけてくる。空港職員の制服を着ていない。
道を教えて金をせびる、ってやつなんだろうなと思って無視する。
Travel Information を見つけてそこで女性の職員に聞く。
出口を出てすぐ目の前にチケットを売る女性が立っていて、その隣がバス乗り場だった。
そこまで案内してくれる。悩むまでもなかった。
この女性の職員もチケット売りの女性も何を言ってるのか半分以上わかりにくくて、
こちらは「GCTまで片道」と伝えるだけで精一杯。
それでもとにかくチケットが買えた。
チケットを見ると、行き先が GCT の先の PEN(ペンシルバニア駅)となっていた。
間違いかと思ったが僕は何度も GCTって言ったし、どちらも料金は15ドル。
そういうものなのかもしれない、
15ドルで買ったら誰もが遠くの PEN まで行けるのかもしれないと考えてみる。
乗り場にはアメリカ人ばかり。
一人だけ日本人がいて、機内で隣に座っていた女の人だった。
話しかけようかどうか、このバスで合っているかどうか迷ってやめた。
向こうはニューヨークに慣れてるような感じで、
僕は「地球の歩き方」を手にしたおのぼりさんで、なんか気が引けた。


バスが到着する。
カーゴパンツに青のチョッキの制服を着た韓国系のドライバーが行き先を聞くので
「GCT」と答えたら「OK」と言われた。合っているようだ。
スーツケースをバスの横腹のトランクに詰め込んで、バスが出発する。
2人掛けの席、僕は1人で座っていた白人男性の隣へ。
各ターミナルを順繰りに回って行って、
最後、空港の出口で黒人のチケット係がチケットを1人ずつ確認して回る。
また発車する。ドライバーは携帯で、韓国語で話し続けている。
同期から電話がある。「バスに乗ったとこ」と伝える。
「じゃああと30分ぐらいで着くね」って話になったのに、そこから先渋滞に巻き込まれる。


それにしてもインターネットと携帯の時代になってなんて便利になったことか。
こういう国際間の待ち合わせって20年前だと国際電話とエアメールのやり取り?
手間かかりすぎるし、お金もかかるし、しかもその場で連絡がつかない。
そんな時代に旅行するのではなくてよかったとゾッとした気分になった。


橋を渡ってマンハッタンへ。
大きなハイウェイが狭いストリートになる。
「ああ、これがニューヨークか」
そう思いながら窓の外のビル街に見とれているうちに GCT に到着する。
ドライバーがトランクを開けて、スーツケースを取り出す。
受け取って GCT の中へと歩き出す。


GCT は非常に大きな駅で、日本で言えば東京駅みたいなものか。
ホームがたくさんあって、広いコンコースがあって、ショッピング街があって。
コンコースはどちらかといえばホール。5・6階分ぐらいの高さがあるだろうか。
シカゴのユニオン・ステーションもこんな感じだったなあ。星条旗が掲げられていて。
壁は大理石だったか。
各国から来た僕のような観光客が写真を撮る。


同期に再会する。店を予約しているという。
GCTの地下にある「オイスター・バー&レストラン」
http://www.oysterbarny.com/oysterbar/html/index2.htm
中はものすごく広く、バーカウンターやサルーンもあった。
2人掛けの席に案内され、まずはビール「Brooklyn Lager」で乾杯。
前菜に Fryed Oyster とクラムチャウダーを頼む。
Fryed Oyster って書くと日本の牡蠣フライみたいだけど、全然違う。
何と言うか。衣揚げが近いかな。
タルタルソースにつけて食べる。これがとてもおいしかった。
後はひたすら生牡蠣。覚えてるのは、
 BLUEPOINT(LONG ISLAND, NY)
 KUMAMOTO(CALIFORNIA)
 MYSTIC RIVER(CONNECTICUT)
 ROCKY PASS(ALASKA)
これらと、あと4種類食べたはず。どれも1つ2ドルから3ドル。
いやーうまかったねえ。
西海岸のと東海岸のと、どっちかがふっくらとしていて
どっちかが身がしまっているはずなんだけど、
食べてるうちにどれがどの牡蠣かどうでもよくなって手当たり次第食べて、ワイン飲んで。
それにしてもアメリカ人って魚介類を生で食べないのに、
なんで牡蠣だけは生で食べられるんだろう?一番グロテスクなのに。
この「オイスター・バー&レストラン」は
今、日本にも進出していて、品川のアトレの中にあるようだ。
http://www.oysterbartokyo.com/
生牡蠣も食べたいけど、Fryed Oyster がまた食べたいね。
店のメニューを記念に持ち帰ってきた。
手書きしたのを印刷してるんだけど、今日の魚料理ってのがあって日付が入ってるから、
誰かが毎日書いてるのかもね。


20時ぐらいに落ち合って、店を出たのは22時過ぎか。
North Metro Railorad の New Heaven Line の Rye という駅へ。
32個あるホームのうち、20番のホームへ。
切符を買う。片道$6.75と高い。同期はもちろん定期を持っている。
改札はなし。列車が走り出して、車掌に切符を渡す。
チェックしたしるしに細長いカードにパンチをして背もたれの間に挟みこむ。
金曜の夜。仕事帰りで一杯やった同期はさっそく眠ってしまった。


地下をくぐり抜けて、地上に出る。暗くてよく分からない。
住宅地のようだ。40分かけて Rye まで。
僕もウツラウツラ眠ってしまう。


Ryeの手前で同期を起こす。駅で降りる。
人気のないホーム。空気が冷たかった。列車が走り去ると通り過ぎる車の音しかしない。
友人の家までスーツケースを抱え、歩いていく。
郊外の閑静な、高級住宅地。
地球の歩き方」を見たら New Heaven Line のこの辺りは日本人駐在員が多く住んでいるという。


友人の家に到着する。
スーツケースを2階の泊まる部屋に運ぶ。既に布団が敷かれている。
お土産の焼酎と雑誌(AERAFLASH)を渡す。
奥さんが起きてくる。お茶を飲みながら明日の予定を決める。
天気予報を見ると雨ではなく、嵐、雷が鳴るとのこと。
屋内で過ごす方がいいねとメトロポリタン美術館に行くことにする。
その後「コーラス・ライン」を鑑賞。
当日券なら半額で入れるとのこと。


風呂に入って、眠る。12時過ぎ。
明日は8時に起きるか、ということになる。


布団の中で「枯木灘」を読み終える。