昨日、クリス君と共にスロウライダーの新作を見に行って来た。
場所は前回同様、新宿の Theator Tops ってとこ。
http://www.slowrider.net/
タイトルに「改」とあるように2年前の「トカゲを釣る」のリメイク。
リメイクって言っても
「蝸牛」「地方」「研究所のやさぐれた研究員」「ネバネバ」
ってキーワードだけが一緒で、全然別物だった。
スロウライダーは良くも悪くもどれを見てもスロウライダーなので、
どれも過去の作品のリメイクに見えるもんだけど。
設定と背景だけ変えてね。
ちょっとしたすれ違いが底意地の悪さにつながっていく、
それが取り返しのつかない事件へとつながっていく、
っていう物語の構造がある以上、どれもある意味一緒。
そこのところをそろそろ乗り越えなきゃいけない時期なのではないか?と勝手ながら思った。
(そういうの一歩抜け出して、ブローティガンの原作を借りて
「別のこと」を語った感のある「西瓜糖の日々」が僕にとって
最も面白い作品だったのはそういうことなのだと思う)
思い浮かぶキーワードは「成熟」
これまでと違って、脚本がいい、役者の演技がいい、演出がいい、セットがいい、というのではなく
トータルな演劇としていい作品だった。
ようやく噛み合ったというか。
でもこれが完成形で、これがこの先ずっと続くとしたら、それは誰も望んでないのではないか?
当事者としてはなおさら。
希望を持てたのは、ここがゴールなのだなという印象が全くなかったところ。
まだまだここは通過点に過ぎないはずだ、というのは見ててよく伝わってくる。
だけど、どこに向かうのかは相変わらず全然読めなくて
次回見たときに「あ、前回のあれがゴールだったんだ」と思ってしまう危険性もまた、感じられた。
見てる間は相変わらず面白くて2時間あっという間、
日下部さん・金子さんをはじめとして役者がこれまでで最高のラインナップ。
(ここは毎回自己ベスト新だと思う)
台本としてもよくできてて、さりげなく盛り上げ方、役者という器が合っての盛り上げ方がうまくなっていた。
「暗いままにしてくれ。明るくなると怖いんだ」
「天国を信じてるやつだけがあっさり死んでいく」っていうような印象的なセリフも随所にあった。
だけど、余韻が抜けて家に帰り着いて、上記のようなことをついつい考えてしまうという。
なぜ今「トカゲを釣る」なのか?って言ったらこれが2年前の転換点だったからだと僕は思う。
あの作品を境に、出演者ががらっと変わった印象がある。
より著名な人たちが出るようになったというか。
この路線でスロウライダーは良かったのか?良かったんだよな?という検証。
そういう位置付けの作品。
よし、今回もまた陸上で言うところの標準記録Aを突破したぞ、っていう。
それは走ることそのものが楽しくて走っているうちに高みに上っていったとか、
そういうのとは別の次元の話になってしまっていて。
今回がリメイクで、2個前も初期の名作「アダムスキー」のリメイクで。
2個先もリメイクだったら、ちょっとやばい。
自己の立ち居地を検証している場合ではない。
後先考えず、行けるとこまで行ってほしい。
9.6秒台を切ったら金メダルが取れると考えるか、
とにかく俺は誰よりも走りたいと願うか。
演劇として面白いのはどっちかと言ったら、考えるまでもないでしょ?
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次回作の仮タイトルは「セインツ・オブ・練馬」だって。練馬。
相変わらず次回作のタイトルはものすごく秀逸。
あと、芦原さんの出番が一瞬だけだったのが気がかりだ。