新日本風土記「北陸 冬のしあわせ」

昨日は朝8時から『新日本風土記』の再放送。
「北陸 冬のしあわせ」
仕事を始める前に見る。
 
先週の夜は大学の先輩から仕事の電話でかかってきて見ることができず。
この日の『朝イチ』は近江アナが最終日だったけど。
(ゲストがT字路sで「泪橋」を歌ったようだ)
 
新日本風土記はどの回も丁寧につくられていて
心温まるエピソードによく出会うんだけど、
今回の「北陸 冬のしあわせ」はその中でも特に素晴らしかったと思う。
 
荒天の中、海に出るのを待つ漁師たち。
取材は長距離トラックが群れを成して立ち往生した
北陸豪雪のときだった。
 
おかくずを燃料にすることで身も心も温まる銭湯。
店主は定年退職して実家の銭湯を継いだんだけど
お客さんは常連ばかりで全然儲からず、ぼやいてばかり。
それでも朝早くから釜におかくずをくべていく。時間がかかる。
石油やガスは熱い湯をすぐつくることができるが、その分湯冷めしやすい。
林業の町で以前は町に何軒も銭湯があったが、今はここ一軒のみ。
おかくずも往復3時間かけて他の町にもらいに行く。
 
富山県の豪雪地帯の村。老夫婦。
冬の間夫は石川県の酒蔵に杜氏に出かけ、
結婚してから一度も一緒に冬を過ごしたことがないという。
雪深い中の雪かきを妻が一人で行う。台所の窓も雪で埋まっている。
近くに住む別の老夫婦。やはり夫は杜氏であったが、引退した。
妻の雪かきを手伝うが、足手まといだと笑う。
 
高校を卒業後生まれ育った漁村を出て
東京でギャルをやっていたという32歳の女性。
昔の写真はギャルサーのものばかり。
自分の中に足場を作りたいと村に戻ってきて海女になった。
若いのはただ一人。周りは70代、80代のベテランたち。
中に混ざって岩海苔を獲る。
おばあちゃんたちは彼女のことを村の宝だという。
村に嫁に来ても誰も海女になろうとしない。
海に来るのは犬の散歩のときだけだと。
 
富山県の別の漁村だったか。
嫁に行った初めての冬、男親は婿に出世魚のブリを一本贈るという風習がある。
長女が石川県に嫁いだ時には先方に断られ、
今回次女の結婚が決まったが、妻と次女が嫌がって……
お祝いならお金の方がよほど助かるじゃないですかと。
でも父親はブリを贈りたい。
訪問当日、近所の魚屋へ。
その店でもめったに仕入れないという10数キロの立派なブリを
発泡スチロールのケースに詰めて車で運ぶ。
その後また魚屋に戻ってきた。
先方に見せてから一度持ち帰り、
捌いてもらって近所に分けやすくしていた。
この父親の気持ちになったとき、僕は朝からほろりと来た。