この人を見よ

いわゆる小説家以外で、
「この人の書く文章は素晴らしい!」と昔から心酔している人が1人いる。
名前を一條和彦と言って、本職は何かわからないけれど
時々 Rockin'on に原稿を書いたり、CD のライナーノーツを書いている。
Rockin'on は僕が高校の頃からいまだに書き続けているから、
もう15年以上続いていることになるのか。
この雑誌の中で今、唯一「読む」に値する「文章」だと思う。
松村雄策もいいけどね)


ロックの雑誌なので、原稿の中では
毎回一組のアーティストについて取り上げて書くことになる。
なのに一見無関係な物事に関する記述が途中、どんどん挟み込まれていく。
文章は常に何層かの緻密な階層構造を持ち、イメージの乱反射となるのだが、
それはやがて結末の一点へと集約することになる。
その結末はいつだって鮮やかで残酷なものであって、
読むたびに「やるなあ」と唸らされることになる。
これこそ天才の書く文章だと思う。


この人のこれまでの文章を抜き出したものが本にならないかなあと願うのだが、
それは無理な話。多くの人が手に取って売れる商品にはならないだろう。
今思えば切り抜いてスクラップしておけばよかった。
でも残念なことに古い Rockin' on はどれも捨ててしまっている。


ということを考えながらネット上をブラブラしていたらこの人のブログを見つけた。
http://hangwire.exblog.jp/
見ると過去の Rockin'on の原稿がいくつかピックアップで掲載されている。
「これだよ、これ!」と興奮する。
2005年の秋で更新が止まっていて、いつ消えるか分からないから、
次の日の朝会社に出てすぐ全ページプリントアウトした。
いつか時間が出来たらゆっくりと読み返したい。


読んでないのでまだ分からないんだけど、
あのときの文章がそのまま載っているのか、それとも手直ししているのか。
後者だった場合、この人のことだからがらっと変えてそう。
そもそもこれらの過去原稿は
ネット上で公開して問題とならないものを選んだのか、
それとも自分で気に入っているものを選んだのか。
興味は尽きない。


最近だと、豊田道倫の「東京の恋人 live」のライナーノーツを書いていた。
他の媒体だとどこに何を書いているのだろう??