韓国焼肉ツアー その5

21日の土曜日。
先輩が携帯を目覚まし代わりにしたのか、6時に振動音が聞こえた。
7時に起きることになっている。ウトウトする。
僕が日本から持ってきた7時に鳴る。起き上がって寝ている後輩を起こす。
ベランダに出る。外はどんよりとした曇り空。
ソウルの夏の空はいつもこんななのだろうか?初めての朝なのでよくわからず。
先輩や後輩がシャワーを浴びている間、デジカメで撮った写真を整理する。


7時半に部屋を出る。
板門店観光。東和免税店に旅行会社のツアーデスクがあって、そこに集合することになっている。
地図を見るとなんとなく場所がわかったので、歩いていくことにする。
光化門の近く。30分もかからないだろう。
昨日の夜ホテルの周りを歩いてみたのでだいたいの土地勘がつかめた、・・・ように思った。
「乙司路」という大通りに出て、西の方角にまっすぐ歩いていくと有名なロッテ百貨店に出る。
明洞(ミョンドン)地区のこの界隈はソウルでも最もにぎわっているところだ。
そのまま進むとソウル広場とその奥に徳寿宮があって、ここで方角を変えて北へ。
西へ北へと15分ずつ歩く感じか。大通り沿いに行くのだから間違えるはずがない。


土曜の朝の早い時間。人通りはほとんどない。開いている店もない。
のんびりとした気分で歩いていく。
中心部へと向かうに連れてモダンな高層建築が増える。たいがいは銀行のビル。
通りを挟んでロッテ百貨店の前に差し掛かる。
先輩がコーヒー買いたいと言うので、外資系のコーヒーショップへ。
僕らは中に入らず、外で待っている。
すると韓国人の、初老のがっしりとした体格の男性が近付いてきて
「日本人ですか?」と声を掛けてくる。
そうだと答えると、あれこれ話し始める。
昔は韓国からアメリカに旅行しようとしても当時のお金で 3000w
(3000 ドルだったか?全然違うけど)しか持ち出せず、
韓国の札はICチップが入っていたから検査で引っかかったけど
日本の札はICチップが入っていないので、足りない分はこっそり隠れて持ち出したもんだ。
そういう話。
「ふーん」と思って聞いていたら、
日本円でいくらいくらを韓国ウォンでいくらいくらで両替してあげよう、と切り出される。
海外旅行の鉄則として、こういう連中の交換レートはぼったくられるだけ。
「いらないです」と言って背を向ける。
しつこく食い下がってくるかなあと思っていたら、さっさと諦めてどこかに消えた。
ほっとする。世界のあちこちの国で、
こういうときってとにかくしつこかったよなあということを思い出す。
屈折してるけど、「韓国っていい国だなあ」と思った。
こういう輩に出会ったのは、結局このときだけだった。


そのとき僕らは周りを建物に囲まれたちょっとした広場のような場所にいて、
シーソーで遊ぶ子供たちの銅像が建っていた。
たまたま目の前に、ソウルナビで見つけて印刷した焼肉屋のうちの1つ、
「コムソッチプ」を見つける。夜はここまで戻って来て、この店にしようと決める。


向かいのロッテ百貨店側に渡りたいために、地下街へと下りていく。
ソウルって地下の街なんですね。地下鉄の駅だけじゃなく、
例えば僕らの泊まっていたホテルのすぐ近くにも小さな地下商店街があった。
履物など日用品の店や、安食堂など。


向かい側に出る。
真ん前で見るロッテ百貨店とロッテホテルはまるで聳え立つかのよう。とにかく大きかった。


この頃だろうか、雨が降り出した。まだ小雨。歩けなくもない。そのまま歩き続ける。
すぐにも、ソウル広場の前へ。
ここで問題が起こる。横断歩道を渡っていければよかったのだが、
工事中でいったん地下に下がらなくてはならなかった。
地下を歩いているうちに方向感覚がなくなり、たぶんこっちだろうという出口から地上に出る。
で、そのまま歩き続ける。おかしいと思い始める。
スタバがあったりトンカツの「さぼてん」があったり、こじゃれたオフィス街なんだけど
道が開けて「徳寿宮」に出そうな雰囲気がまるでない。
焦りだす。集合時間は8時20分。あと10分しかない。
雨も強くなり出す。
ギブアップしてタクシーを探す。
とりあえずロッテホテルの前まで戻る。
停まっていたタクシーに乗せてもらおうとする。
運転手が親切にも降りてくるので、地図を見せて東和免税店を指差すと、
「予約はあるか」みたいなことを聞かれた。
ないと答えると、ホテルの予約のある人専用で乗せられないと言われる。
困ったなあと思っていると、その運転手は走っていた普通のタクシーを呼び止めてくれた。
親切だなあと嬉しくなる。感謝。


タクシーに乗って走り出す。大通りを突き進む。
前の席に座った後輩は韓国語で話しかけられる。
何を言ってるのか3人ともわからず。それでも構わず運転手のおっさんが喋り続ける。
治安の悪い国だとこのままどっか連れてかれるんだよなあ、なんてことが怖くなるが、
タクシーは何事もなく東和免税店の前へ。初乗りとほとんど変わらない2700w、400円ぐらい。
近距離で安くてごめんなさいと思う。銀座から乗って日本橋までぐらいの距離か。
運転手のおっさんも一生懸命ソウルの観光案内みたいなことを語っていたんだろうな・・・


東和免税店の中へ。
すぐにもツアーデスク(というか机が出ているだけ)が見つかる。チケットをもらう。
出発は8時50分だった。なんだ、焦る必要はなかった。
時間が余ったので、近くのコーヒーショップへ。「HOLLYS COFFEE」ってとこ。
日本で見たことないけど、韓国版ドトールみたいなものか。
きれいな女性が1人でコーヒーを飲んでいたり、初老のビジネスマン2人が打ち合わせしていたりした。
コーヒーの入ったいろんな色のカップ
アンディ・ウォーホルシルクスクリーンのように
縦横並んでいるポスターが壁に貼ってあって、かっこよかった。
カプチーノを飲む。3050w(450円ってとこか)
トーストがセルフサービスで無料だったので、先輩が焼いて僕の分も持ってくる。
バターを塗って食べる。結構うまかった。