この世界はゼロへと向かう

昨日の夜、家帰ってきてもすることがなく、書いた日記。

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「この世界はゼロへと向かう」
そんなフレーズをある日思いつく。
そしてそこから先、ことあるごとに思い出している。
頭の中から離れようとしない。

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今日は午前も午後も社外で打ち合わせ。
東新宿で打ち合わせが終わったのが11時、次の打ち合わせは銀座で13時。
2時間暇になる。


朝、「新宿歩道公園四季の道」って言うんだったか、細い公園の中を歩く。
平日のこんな時間に歩くのは初めてかもしれない。
ゴールデン街が色褪せて見える。
ホームレスの人たちがすることもなく寝転がっている。
帰り、花園神社の前を通る。
演劇のテントでも立つのか、円形の、客席か舞台を組んでいた。


初めてのラーメン屋で食べたあと、することもなく高島屋へ。もちろん、HMVが目当て。
Kate Nash というイギリスの新人が気になってて、シングルを売ってないか探す。
この前の休みに吉祥寺の HMV でかかっていた女性の曲がとてもよかった。
「これ誰ですか?」って店員に聞かなかったけど、
一押しとしてプッシュされていたからこの人なのだろうと見当をつけた。
アルバムは国内盤が来月出るみたいなのでそのとき買うことにしようと思う。


平日の高島屋は閑散としている。
また、思い出す。この世界はゼロへと向かう。


高島屋のガラス張りの壁から新宿の街並みを見下ろす。
平日の昼間に見る新宿はいつもよりもなんだか大きく見えた。


例の Krispy Kreme Doughnuts に並んでみようかとも一瞬考える。
でも、買ったところでなあ。会社かどっかで配るだけ。
「わーオカムラさんありがとうー」と喜ばれる。でもそれで終わり。
思いとどまる。


紀伊国屋で「シグルイ」の5巻と6巻を買う。
家帰ったら5巻を読もうと思う。明日、6巻。
最近1日1冊ずつ読んでいる。一気に読んだらもったいない。
荻窪の本屋では僕の知っている限り1軒でしか売ってなくて、
しかも5巻までしか在庫がない。ここで買っとかないと続きが読めない。
たぶん、次の3連休にまた新宿に出てきて、残りの9巻までを買うのだろう。


シグルイ」読んでるって mixi に書いたら
大学の後輩が「だったら『バキ』も読んでください」とコメントを。
でも調べてみたらたくさん出すぎてて今更集められない。
ちょうどよく総集編みたいな分厚いのが売られてて、それを買う。これも明日読もう。


COYOTE」の特集が「柴田元幸が歩く、オースターの街」となってて、即買い。
「シティ・オブ・グラス」を初めて、柴田元幸が訳している。
これがなんといってもすごい。快挙だね。
ポール・オースター柴田元幸
近年稀に見る幸福な出会い方をした小説家と訳者ではないだろうか?
どちらかが名を知られるに連れて、もう片方も一緒に知られていくという。


DiskUnion へ。相変わらず Kate Nash を探す。
店内は暇な学生ぐらいしかいない。


丸の内線で銀座へ。
眠くなって、うたたね。


時間がまだ余っていたので、INZ の方の HMV へ。
消防車が何台も通り過ぎる。
銀座の街並みに響き渡る、性急なサイレンの音。
消防隊員たちがホースを持って駆け抜けていく。
集まったのはマロニエゲートの辺りだろうか。
街行く人々が立ち止まって眺めている。
しかし火の手は見えない。煙があがっているわけでもない。
デマなのだろうか?
なのに次々と消防車が集まってくる。
結局なんだったのだろう?


打ち合わせを終えて、ゆりかもめに乗って会社に戻る。
PCを立ち上げて仕事をする。
だけど、なんだか今日はやる気がしない。
定時で切り上げて会社を出る。


電車に揺られて家路につく。
地下鉄に乗り継いで。またしても眠くなって。
荻窪で目が覚めて、他の人たちに紛れ込んでホームを歩く。


この世界はゼロへと向かう。
この世界はゼロへと向かう。


何度も何度もこのフレーズが頭の中でグルグルしてる。
そんな1日だった。


今日か明日この世界が終わったとしても
僕は何も言わず、「ああそうですか」と受け入れるのだろう。
僕が目を閉じたとき、この世界は終わってしまっている。