熊野古道を歩く その7(2/18:那智大社〜那智の滝)


登りきって、那智大社の駐車場に出る。13時半ぐらいだったか。
ここのお土産屋にて昼食。僕はきつねうどん、Fさんはきのこピラフ。
どちらもうまかった。インスタントじゃなく、手作りだった。
那智黒飴と「ほたて紀州煮」というのを買う。
後者は多くの場所で見かけた。帆立を梅で煮付けたもの。
後日食べたら酒の肴としてなかなかよかった。
http://www.wakaya.co.jp/menu/hotate/index.html


土産物屋の続く石段を上る。
碁石に使う黒い石が名産のようで硯やそれらの石を使った置物が多く売られていた。
中田英寿が来たと一緒に写真に写っている彫り物師の方もいた。
店によっては薄暗いどころか真っ暗でごちゃっと置物を並べているだけ。
そして店番はおばあさん。全然儲からないんだろうなあ。


那智大社へ。護摩木をくべてお参り。
Fさんは護摩木に願い事を書いて中が空洞になった古木の根をくぐっていた。
ここで神社の方に○○さんか××さんを呼び出してもらうよう頼んでみる。
昨晩の新宮の「かあさん」のはからいで事前に電話を入れてもらって
特別に御本殿の見学ができるように手はずが整えられていた。通常は入れない。
しかし、○○さんも××さんもそのときは不在。
替わりにということでこの方に案内をお願いした。


頭を下げて祓って清めた後に中へ。朱色が眩しい。
そして葺き替えたばかりという屋根が美しい。ひとつずつお参り。
目の前の上五社について解説を聞く。
第一殿は那智の滝、第二殿はスサノオノミコト、第三殿はイザナキノミコト、
第四殿はイザナミノミコト、大五殿はアマテラスオオミカミ
第一殿として那智の滝が増えている分、速玉大社・本宮大社よりもひとつ多い十三殿となる。
主祭神イザナミノミコト。本宮大社スサノオノミコト、速玉大社はイザナギノミコト。
全国各地の熊野神社はこれら熊野三山のどれかから分かれたものであるという。
屋根の葺き替えは40年ごとで那智大社本宮大社も完了したばかり。
おととし見に行ったFさん曰く工事中だったとのこと。


那智山曼荼羅」が気になっていたので、帰りにその「絵解き解説」を買う。800円。
隣の青岸渡寺はさらっと。那智の滝へ。三重塔に上って全貌を眺めた後、下りていく。
これはすごいね。こんな厳かに美しい滝は見たことがない。
とはいえこの那智の滝台風12号の影響で土砂崩れに遭って、昔はもっと壮麗だったとか。
霧のように水しぶきも漂ってきた。今はそれはない。
柵にもたれて下のほうを見ると確かに
昔は観覧台だったと思われるものが崩れて岩の間に流されている。


追加で200円払って、さらに奥へ。滝そのものを祀る「飛瀧神社」にお参りするという形になる。
滝の流れをしばらくじっと眺める。飽きない。
滝の上部というか崖の部分には注連縄。これを年に二度交換するという。
神社の方が行なうそうで、大変危険。


絵馬が奉納されていた。
「相撲で近畿大会優勝できますように」と書かれたあったのに心和む。
「裁判が無事終了して全てが解決してこれからは家族円満に暮らせますように(中略)、
 あと阪神が優勝しますように」どっちが大事やねんと笑っちゃいけないのに笑ってしまう。
「ゴッドになれますように」というのもあった。


ここからバスに乗っていくことにする。
近くのお土産屋に入ったら中にいたおじさんが
「外は寒いから、バスの時間まで温まっていきなさい」と言う。
椅子に座ってストーブに当らせてくれる。親切な人がいるものである。
バス会社の職員の方で語り部の資格を持っていて、ここはお土産屋兼待合所なのだという。
なるほど、そういうことか。あれこれ話を聞く。
台風12号の被害を受けた那智の滝
地元としてはかつての姿に戻すために土砂や流木を取り除きたい。
しかし、世界遺産に認定されたため自治体の判断だけでは取り掛かることができない。
国の考えとしては地元とは逆で、そのままにしておく方向性のようだ。
せめて、ということで流木だけは取り除く許可が下りたとか下りないとか。
紀伊勝浦の駅ではなく那智の駅で下りて
コインロッカーに預けた荷物をピックアップすると言うと
わざわざ紀伊勝浦行きのバス乗り場の地図を手書きしてくれた。
観光地の人たちってあんまりいい印象を受けないことが多いんだけど、
ここ和歌山では親切な人に要所要所で出会っているような。


バスに乗って那智駅へ。車だとすぐ。
そのまま紀伊勝浦駅へのバスに乗り換える。