「Hyperdub 10」

金曜の夜は、神保町の三省堂の対談ののち、代官山に移動。
UNITにて、「Hyperdub」レーベルのイベントで朝まで。
http://www.beatink.com/Events/Hyperdub10/


ロンドンのレーベルで、ジャンルで言ったらダブステップか。
ダブステップというのも一言で言いにくいけどダンス向けのエレクトロニカ
生演奏はなしで、あったとしてもシンセかサンプラーシーケンサーぐらい。
ラップトップとターンテーブルにつないだミキサーで流す音の加工を行なう。
リズムが前のめりでダブとつくぐらいだからベースが強調されていて、
上ものの音が急角度から迫ってくると喜ばれる。
無機的で攻撃的。問われるのはインテリジェンス。
肉体よりも知性や感性を刺戟する感じ。それで躍らせる。
だからセクシーさのあまり感じられないダンスミュージックだったりする。


23時開演。先着入場特典のミックスCDをもらう。
今回出演の IKONIKA と DJ Rashad によるもの。


ラウンジとステージと2箇所でDJセット。
僕はステージのほうにまっすぐ行って、人が全くいなかったので
最前列の真ん中の柵をキープ。


最初は「Quarta 330」日本人。
4・5年前によくエレクトロニカ系DJセットを見に行ってたときに
あちこちで聞けたものから特に進化してなくて、僕としては、うーむ。


次はレーベルオーナー「Kode9」によるアンビエントなセットを手短に。


午前0時を過ぎて今日の目当てである Laurel Halo へ。
ニューヨーク出身のクリエイター。
僕は『Ele-King』の特集「エレクトロニック・レディランド」で知った。
そこには Julia Holter, Julianna Barwick, Maria Minerva など
あれこれ取り寄せて聞いてみた中で、Laurel Halo が頭一つ抜きん出ていた。
長身でミリタリー風の服を着ていた(ように見えた)。
音の作り方や差し込むリズムの切り取り方がやはり面白かったですね。
鋭角的で1次元から4次元までを自由自在にまたぎ超えるというか。
どこかでインテリジェント・テクノと紹介されているのを見て、なるほどなあと思う。
ステージの上で煙草を吸いながら機材を操る姿がクール。
最前列の柵にもたれながら身を揺らして聞く。


Laurel Halo - Chance Of Rain
http://www.youtube.com/watch?v=V6dN1WB8Az0


その後に登場した Ikonika がびびった。
ここまで暴力的なダンスミュージックは初めて。
音数は少なくて直線的なんだけど
ストイックなまでに脅迫的なビートが快楽の中枢神経を貪りつくすような。
背が低くて眼鏡で一軒地味な佇まいの女性が繰り出す音なのだから驚く。
父親がエジプト人で、母親がフィリピン人というハーフ。
不思議な顔立ちのアジア系。
探したらDJセットの動画が。
(正面と真横から撮影した映像を並べるという発想が編集的)
金曜はこれがさらに100倍バキバキになった音だった。


Ikonika 30 min Boiler Room DJ Set
http://www.youtube.com/watch?v=HNJykhSst4g


その次が「Kode9」hyperdubの総帥にしてダブステップといえばこの人、だろうか。
僕は正直な話、初めて知った。
この辺りからステージ前はギュウギュウ詰めで
踊ってる人たちがどんどんぶつかってくる。
音はこれぞダブステップ。広がりを作ってそこに攻撃的な音を仕掛けるというか。
キャリアもあるんだけど、余裕のある音。
なんぼでも暴れてください、というような。


その次、DJ Rashad の頃には身動き取れず。
始発の時間が近付いていたので帰ろうとしたのが、そんな状況じゃなくなり。
途中でストリートダンサーがステージ前のスピーカーの上に登場して
フロアに飛び込んで踊ったときに人波が分かれて、
そのときようやく掻き分けて後方に逃れることができた。


改めて見回してみるとステージ前方で踊っている人たちと
後方でぶらぶらしながら酒を飲んでる人たちと。
午前4時ともなるとラウンジのソファーで眠り込んだり、グループで飲んでたり、
階段の踊り場で何かを交換していたり、その隅でうずくまって寝ていたり。
夜遊びの若者たちがけだるそうに過ごしていた。


DJ Rashad が続いていたけど、僕のようにボチボチ帰り始める人たちがいる。
恵比寿まで歩いて行って山手線の始発、中央線の始発で帰って来る。
布団に入ったのは午前6時。