みどりのおばさん

僕は朝早く家を出るけど妻は普通の時間に出社している。
電車の中から LINE でメッセージを送ってきて曰く、
「いいものを見た」と。
何かと聞くと、家の近くの五叉路に「みどりのおばさん」が立っていて
はしゃぎながら登校する子どもたちを淡々としかっているのだという。
ただそれだけだけど、よかったと。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


黄色い帽子の一年生男子と、
たぶんに先生くらいの男子と、
3人でキャハキャハふざけながらお互いのランドセルとか
引っ張り合いっこしてたら


「こらー ランドセルひっぱらない」
「ふざけないの」
「ふざけると、大ケガをします」
「わかりましたか?」


子どもたち「はーい」


ものすごく当たり前のことだけど、
みんなどこかに置き去りにしてきてる、世の中の摂理。


澄んだメゾソプラノ
ヤクルトの叔母さんみたいな私服着て
ピシッと旗を掲げて


「わかりましたか?」


このおさえの一言がいい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


懐かしい光景。
ランドセルが揺れている。
縦笛や給食袋がぶらさがっている。


あの頃は僕らも「はーい」と言えた。


いつのまに言えなくなってしまったのか。
それが大人になるということなんだろうけど。