長野市へ(中編)

日曜、3日のこと。
 
7時起き。一階の朝食バイキングへ。
ハムマヨパイ、クロワッサン、ハッシュフォポテト、夏野菜のペペロンチーノ、
スクランブルエッグ(カレー風味のケチャップがあったのでかけた、ケンコーマヨネーズから出てたもの)、
ベーコン、ゴロゴロ炭火焼きチキン(鶏肉とブロッコリーの炒め物)、フレッシュサラダ、卵とわかめのスープ。
炭火焼きチキンとペペロンチーノをおかわりしてしまった。
女性二人が昨日マサさんが、と話している。ドリカムファンだろうか。
ラウンジのマシンでコーヒーを淹れて部屋に戻る。
 
9時にチェックアウト。
車を駐車場に置いたまま参道を歩いていく。
蕎麦屋、和菓子屋、内山紙という和紙の店など門前町らしい落ち着いた雰囲気の店が増えてくる。
カフェやバーなど、若い店もシックな趣がある。
御開帳初日ということもあって
長野オリンピックの頃につくられたと思われる広場がイベント会場となっている。
金銀銅メダルの表彰台や聖火台も置かれていた。
長く伸びたアーケードの商店街の入り口を通り過ぎる。
小さな美術館にて全国を巡回している江口寿史展をやっていた。
その近くでは「北野文芸座」という演芸場なのかな、落語の公演のポスターを貼っていた。
 
七味の「八幡屋礒五郎」の本店があったので入った。
昨日昼の「明治亭」にも夜の「ちどり」にもあった。
長野の飲食店の多くに置いてあるのだろう。
昨日JRの駅ビルでも店を見つけたが、自分の好みで配合してもらうことができる。
いろんな七味、一味の小さな缶を売っている。最初は一つか二つだけ買うつもりが、
次いつ来るかわからないしなあと結局四つも買ってしまった。
ラーメン用、丼物用、「Bird Eye」というとびきり辛いの、深煎りしたもの。
昨晩はコンビニで見かけた御開帳記念の缶に入ったのも買っている。計五本。
最近高松の「本鷹の王」「本鷹の姫」も三本ずつ買ったばかりというのに。
 
仁王門をくぐる。左右の仁王像が睨みを利かせている。
小さなお寺さんが左右に並ぶ。
赤いのをかぶったお地蔵さんをあちこちで見かける。
携帯用? の「ひと握り地蔵」というのが人気なようだ。
池上本門寺のようにここも分譲霊園を盛んに宣伝している。サイネージのようなものを置いて。
通りを渡ると浅草の中店通りのように土産物屋が多くなる。
昔ながらの理髪店や写真屋もあった。
先に進むと出店も増えてくる。
八幡屋礒五郎とコラボしたペヤングが飛ぶように売れていた。
 
山門を前にする。
櫓のようになっていて2階部分が展望台のようになって歩き、写真を撮っている人の姿が見える。
山門の先に続く行列ができていて、並んでみる。
山門、経蔵、本堂を見学するための共通券が売られている。
この券が必要なところにつながっているのだろうか?
妻に並んでもらっている間に山門脇の券売機に買いに行く。
いつもなら1000円のところが御開帳の期間は1200円に値上がりするのだという。
稼ぎどきなんだろうな……
 
行列の先頭がどこに向かってるかも念のため確認してみる。
山門をくぐってみると境内の真ん中に大きな賽銭箱があってその先に木製の高い柱が立っている。
梵字で何やら書かれ、その下に「前立本尊」とある。
この柱が御開帳のありがたいものなんだろうな。
お賽銭をあげるとこの柱に触ってお祈りする。
その様子をテレビのカメラで撮影している。
上空ではヘリコプターも旋回している。
御朱印帳の列も別なところで長く伸びていた。
祈り終えるとその先で煙を浴びる。それで終わり。
本堂も普通にお参りできるようだ。入場券を求められていない。
 
妻のいる山門の前に戻る。
妻は前に立っていたおじいさんの話を聞いている。
この柱は回向柱と言い、過去の回向柱は経蔵の裏に並んで立っているという。
長い年月の間に朽ち果て、短くなっていく様子が伺える。
これまでの住職総代的な方はこの柱に実に堂々と書いていたが、
高齢となって今代理で書いているはそうでもないと。
僕も見ててうーんと思った。書いているというよりも書かされている。
山門をくぐるときに後ろを振り返るといつのまにか行列が遥か彼方まで伸びていた。
僕らはいい時に並んだようだ。
おじいさんから引き続き真田幸村の一族は今、といった話を聞いているうちに順番が来た。
待ったのは30分ぐらいだろうか。
 
お賽銭を入れる。
コロナ感染対策のため、柱には片手で触れてくださいと何度もアナウンスされる。
おじいさんが言うには以前は全身で抱きつく人もいたと。
それぐらいありがたいものだった。
僕も右手で触れる。テレビカメラに撮られる。ニュースで映ったりしただろうか。
浅草寺のように煙を浴びる。
おじいさんはいつのまにか消えていた。