館山へ(後編)

昨晩の食事から。
前回が刺身付きのプランにしたら4・5人前はあろうかというボリュームで食べきれず。
半分ぐらい残してしまった。
しかし刺身は食べたいと少ない量で一皿追加してもらった。
ハナダイ、アオリイカ、ホッキ貝、かます、さわら、イサキのたたき。
スタンダードプランにも刺身がついていて、
いなだ、ひらめ、いさき。
煮物は黒ムツ。相変わらず絶品な煮汁。
揚げ物はコムツ。
ナスの揚げ浸し、ほうれん草の柚子胡椒和えなど。
酒も小瓶で二本。紅桜など。
ゆっくり食べて、気づいたら最後の客だった。
庭で採れたというプラムも頂いた。
 
五右衛門風呂に入って出てきて
缶チューハイを飲みながらなんとはなしにロックのガイド本を読む。
……気が付いたら畳の上で寝ていた。
午前0時半。
もしかして9時ごろからずっと寝落ち?
本を6冊も持ってきたというのに。
いや、何とも贅沢な時間の過ごし方をした。
そんだけ日々の仕事が大変だったんだな。
 
大雨で何度か目が覚める。
7時前にいつも通り起き上がって五右衛門風呂の一番風呂へ。
宿の方が入れるだけあってお湯の温度が絶妙。
代わりに妻が入りに行く。
 
8時朝食。
こんにゃく入りのゴボウのきんぴら、
小松菜と人参の和え物、
(何の魚か忘れてしまったが)唐揚げ、
オニオンスライスを乗せた冷奴。
そして卵かけご飯。
お茶のグラスからすーっとまっすぐな湯気が立ち上る。
 
最後にもう一度内湯に入りに行く。
持ってきた本など荷物をまとめ、
飲まなかった缶ジュース・缶チューハイをクーラーボックスに入れて車に運ぶ。
9時にチェックアウト。
 
宿の近くのキャンプ場で何組か片づけをしている。
昨日僕らが来たときにテントを組み立てていた。
昨晩の大雨、大丈夫だったのか。
最近の高いテントだと雨漏りすることはないか。
 
妻が枇杷を買いたい冨浦の「枇杷倶楽部」を目指す。
昨日の渚の駅の横を通り過ぎる。
そういえば『グラン・ブルー』のモデルになったジャック・マイヨールのコーナーもあったな。
晩年は館山に居を構えていたのだという。
彼の使ったチェス盤や手袋などが展示されていた。
 
海沿いを行く。
中央学院大学セミナーハウスや昭和女子大学の分校。
グランピングのフィールドや海水浴場。
とある桟橋に大勢の釣り人が。多くがオレンジのゼッケンをしている。
砂浜にテントが並んでいて、そのひとつが竿検査となっていた。
オーシャンズカップ」という大会のようだ。
さらに進む。中華調理の店が多い。
川崎コリアンタウンの店の支店であるとか。
この辺りも中国から移り住んだ人が多いのか。
 
枇杷倶楽部の手前に「房総の駅とみうら」という施設が。
前から何度も通り過ぎていて、今回はこっちに入ってみることにした。
水産加工業者が運営しているようだ。
とても広い敷地に魚、野菜の市場の建物、おしゃれなお土産屋とカフェの建物、
浜焼き、ラーメン屋、寿司屋などが一棟ずつ。
ドッグランもあって、奥には枇杷の直売所も。
 
まずは市場で枇杷、プラム、その他野菜を妻が買う。
枇杷の直売所に行くというので、枇杷の苦手な僕は他を見に行く。
浜焼き、BBQの店は10時からオープンで結構客が入っていた。
ホタテ、牡蠣、ホンビノス貝など。
妻は直売所で大房、田中、楠、3種類の枇杷を試食させてもらったという。
そのうち田中が皇室に献上されたという説明を聞いて、それを熊本に送ったとのこと。
お土産屋の建物に入る。
妻は中のパン屋で塩パンやチーズの入ったパンを買う。
僕は甥っ子・姪っ子のお土産に南総里見八犬伝の小さな凧と房州うちわの小さいのを買った。
海ほたるでよく見かけるプリンスピーナッツの小袋もいくつか。
 
木更津方面に向かう。
金谷港を通り過ぎる。
フェリーに乗って対岸に渡ってみたいという話になり、引き返す。
ちょうど11:20のが出たばかりで、次の12:25に乗ることにした。
搭乗レーンに車を停める。1時間後。
昼を食べたい。ここのこぎれいな「The Fish」には入ったことがある。
しかし時間がかかるだろう。
フェリー乗り場の建物の中の食堂「波留菜亭」にした。
妻はアジフライ定食。
僕はこんなの初めて見た、とアジカツ玉子とじの定食。
 
閑散としていて鄙びている。店員はおばちゃんたち。
お茶も水も、箸やお手拭きもセルフサービス。
うーん、失敗だったかなと正直最初は思った。
でも運ばれてきたアジフライを見たらかなり分厚い。
妻のを一切れ分けてもらったらサクサク、ホクホク、プリプリ。
これ、かなりの穴場なんじゃないか。
僕の頼んだアジカツ玉子とじは分厚いアジフライを
カツ丼のように玉ねぎとだし汁、玉子でとじていてとんかつに引けを取らない。
安い店のアジフライだと魚臭さがあったり油っぽかったりするが、それもない。
え? これ……、この店だけ?
アジフライでカツ丼という発想、50年近く生きていて全くなかった。
昨日訪れた保田漁港の「ばんや」もよかったけど、
次に館山に来るならまたここに来たい。
なめろう丼や漬け丼も食べてみたい。
 
車に戻る。その前に缶チューハイと妻の分のノンアルコールビールを買う。
車を停めて上の階の客席へ。
前方窓際のテーブルのある席にした。
カップルや小さい子を連れた家族連れも多かったけど、
それ以上に女子高生10人グループとか4・5人の男子高校生のグループが多かった。
なんだったのだろう。
大きな荷物はなく、皆、席に座ってぐったり疲れていることが多かった。
修学旅行だったのか。荷物は別で運んでの。
 
金谷港から対岸の久里浜港へ、40分。あっという間。
売店でチーズで味付けしたポテトフライをつまみに缶チューハイを飲んだ。
後方の展望デッキにも出てみた。
房総半島が遠ざかる。日の丸が風に吹かれている。
 
港に着いて、すぐ近くにカインズがあったのでトイレ休憩。
横須賀から横浜方面に出て帰った。
パラパラと雨が降り出す。
国道1号に入る。
 
運転に疲れた妻が眠い、どこかで休みたいと言うも
手ごろなファミレスやドラッグストアがなかなか出てこない。
結局川崎の大きなブックオフを見つけて入る。
妻は駐車場でしばらく休む。
ここの品ぞろえ、SUPER BAZAAR だけあってなかなかよかった。
他の店だったらこれ買っただろうなあというのを泣く泣く断念。
時間がないのでざっと一渡り見ただけだけど、
もっと余裕があったら財布が空になったかもしれない。
 
多摩川を渡り、大森から環八に乗って帰る。
瀬田の交差点の辺りはさすがに混んでいたが、そこまでひどい渋滞ではなかった。
17時半には家に着いた。
昨日買ったけど開けなかったロックアイスがクーラーボックスの中で完全に溶けていた。
同じく昨日買って飲まなかったいいちこの小さなボトルで水割りを作って飲んだ。
つまみは妻が房総の駅とみうらで買ったパンを。
 
勝浦タンタンメンを食べたかったが、またしても果たせず。
次回となるか。10月か11月ぐらいになるか。