食べ終えて13時半。
新千歳空港からは19:05発でまだ時間がある。
昨日から市電を見かけていた妻が乗ってみたいという。
僕も NHK BS の番組で札幌市の市電を紹介したのを見ていて、興味があった。
狸小路の停留所まで歩いて行って、ちょうど来たのに乗る。
山手線のように外回り、内回りがあって時計回りに進むのが外回り。
その外回りに乗った。
狸小路はルートの左端にあって、すすきのを通って南に下り、
西に進むと藻岩山ロープウェーの入り口近くまで行って北に向かい、
そんなコース。
碁盤の目に沿った街並みを市電がゆっくりと進んで行く。道路が広い。
ちょうど差し掛かった弁当屋には「石狩弁当が人気」とあった。
焼き鮭が乗った海苔弁当だろうか。
少し行っては停留所に泊まってしばらく待ち、また運転再開する。
それをのんびりと繰り返す。
サツドラというドラッグストアをあちこちで見かける。
停留所の度に出てくるんじゃないか、ってぐらいに。
南の端の石山通という停留所に差し掛かったところで妻が具合が悪くなった、下りたいという。
席が分かれることになって後ろ向きで乗っていて景色を見ていたら酔ったと。
かつ、目の前に座っていた老婆がマスクをしてブツブツと何かを呟き続けててそれが薄気味悪かった。
下りると目の前に co-op の大きな建物があって、その１階にソファー席があってそこで休むことにした。
少し覗いてみると売り場がきれいで明るい。昔のようなごチャットした雰囲気がない。
上の階は無印良品が入っていた。
僕はニック・ホーンズビィ『ソングブック』の続きを読む。
突っ伏して眠っていた妻が少し気分が良くなってきて、
寒気がするからと上の無印良品に羽織るものを買いに行く。
僕は時々顔を上げて買い物に来た人をそれとなく眺める。
老若男女に利用される店だった。
札幌 co-op はDXの取り組みがうまく行っていると聞く。それが実店舗にも滲み出てくるのだな。
一息ついて妻が動けるようになってまた市電に乗る。
時計で言うならば残り半分。
遠く西の方にジャンプ台が見えた。
狸小路のひとつ手前で下りる。
妻が大通公園を歩きたいという。
行ってみると「花フェスタ '2023」というイベントが開催されていた。
造園、園芸会社のつくった色とりどりの花をあしらったフラワーモニュメントに
北海道の農業高校の生徒たちがつくったガーデニングのコンテスト。
岩見沢農業高校だけで４つもエントリーしていた。
このそれぞれの作品が面白い。
目立ちたいのかなあ。子供が乗って動くトロッコ列車を置いていたり、
居心地のいいベンチを作ることに腐心したり、動物のぬいぐるみをたくさん配置したり。
皆それぞれ頑張ってるけど、賞を獲ったのはガーデニング、草花に深く向き合った高校だった。
このバランス感覚って難しいよなあ。
大賞を獲った作品は確かに、独自の空間を作りえたと思う。
レンガを敷き詰めて小道を作り、その周りを無数の草花で派手過ぎずあしらう。
その奥には慎ましいベンチ、その背後の壁には大きな満月。
僕も選ぶならこの作品だった。
いくつか飲食店がテントを出していて、妻は焼きトウモロコシを食べたいという。
北海道ではとうきびと呼ぶ。
タレをつけて焼いたもの。焼きたてが熱くて手に持てないぐらい。
少し分けてもらったけど、北海道のトウモロコシはやはり甘くておいしい。
札幌駅まで歩いていく。
暑くなるかなと思いきや、この日もまた涼しかった。
日差しはあっても湿気がなく、風が冷たいのが気持ちいい。
駅前に札幌グランドホテルという大きなホテルがあってそのパン屋が目に留まる。
中に入ってシェフが作ったというカレーパンを買った。
駅に着いてコインロッカーで荷物を取り出し、エアポート快速に乗る。
その中でカレーパンを食べた。ココナッツチキンだったかなあ。
サッポロクラシックのロング缶を飲みながら。
エスコンフィールドでは試合が終わったところで、帰りの車が渋滞となっていた。
空港に着く。
時間があったので少し上の階を見て回る。
３階のフードコートでソフトクリームを食べた。
北海道の牛乳を使ったアイスはさすがにおいしいですね。
松尾ジンギスカンの定食屋みたいなのがあった。
思わず買ってしまった。
帰りも、行きと同様10分遅れとなる。
『ソングブック』を読み終える。
羽田に着陸するとき、機内の照明が落ちて最小限になる。
モニターで着陸までの数分間を眺める。
滑走路に並んだ明かりの間を進んで行く。
モノレール、大江戸線と乗り継いで帰ってきた。
札幌と打って変わって練馬はじんわりと暑い。
22時半過ぎに家に着いた。
ペットシッターさんの報告を読む。
みみたがカーペットに吐いていたという。
１回に隠れてばかりだったとも。
さみしかったのだろう。
最低限荷物を片付けて午前０時前に寝た。
