先週買ったCD #160:2023/10/06-2023/11/12

2023/11/10: BOOKOFF 新宿駅西口店
Eumir Deodato 「O Som Dos Catedratocos」 \692
Maria Rita 「Samba Mew」 \550
 
2023/11/10: www.amazon.co.jp
MariMari rhythmkiller Machinegun 「TTAGGG / Since Yesterday」 \680
 
2023/11/10: www.hmv.co.jp
Bebel Gilberto 「Joao」 (\3158)
HMVのポイントで
 
2023/11/11: tower.jp
裸のラリーズ 「Baus '93」 \4620
Ana Frango Eletrico 「Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua」 \2530
 
2023/11/11: DiskUnion 新宿ロックCDストア
Johnny Cash 「American Recordings」 \1100
 
2023/11/11: 新宿ラテンブラジル館
Emahoy Tsege Mariam Gebru 「Emahoy Tsege Mariam Gebru」 \2200
Emahoy Tsege Mariam Gebru 「Spielt Eigene Kompositionen」 \2200
 
2023/11/11: 新宿中古センター
Juan Jose Mosaline 「Don Bandneon」 \680
 
2023/11/11: diskunion.net
Cabaret Voltaire 「Body And Soul」 \1500
 
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MariMari rhythmkiller Machinegun 「TTAGGG / Since Yesterday」
 
僕が MariMari のことを知ったのは多くの人がそうであるように
フィッシュマンズつながりだったと思う。
リアルタイムではなくて、
1999年、佐藤伸治の早すぎる死を受けてしばらく
フィッシュマンズばかりを聞いていた時期があって、その後遠ざかった。
何年かしてまた聞き返したときに関連する音源を探していて出会ったのだと思う。
 
1997年のデビューアルバム「耳と目そしてエコー」は
柏原譲茂木欣一佐藤伸治の3人が関わっている。
というか8曲のうち6曲を佐藤伸治が、残る2曲を柏原譲がプロデュースしていて、
6曲のうちの5曲について
『All Instruments Performed by SHINI SATOH』とクレジットされている。
(最後の”Everyday, Under The Blue Blue Sky”ではバイオリンに HONZI も参加)
 
だからといって裏フィッシュマンズか!? と早合点してはならない。
フィッシュマンズを期待して聞くと肩透かしを食らう。
知らずに聞いたら特にフィッシュマンズは思い浮かべないんじゃないかな。
浮遊感はあっても、音にダブっぽい隙間はあっても、
アブストラクトでどちらかというと効果音の寄せ集めのような。
タイトルにもあるように、エコーのイメージ。
しかし、MariMari の声が中心にあって、空間にしっかりと根を張っていて
一貫したまとまりのある音に聴こえさせる。
あえて3人はフィッシュマンズから距離を取ってこのアルバムに向かい合ってたんじゃないか。
当たり前と言えば当たり前のことだけど。
 
詳しいことはわからないが、1997年というのはフィッシュマンズで言えば
最後のスタジオアルバム「宇宙、日本、世田谷」に取り組んでいた頃であって
集中しすぎて煮詰まらないように、MariMari のアルバムでバランスを取っていたのかもしれない。
フィッシュマンズの音だけで100%生活するのも疲れてくるので
フィッシュマンズ以外の音も出したくなるというような。
いや、わからない。
「宇宙、日本、世田谷」の前にレコーディングを終えていたのかもしれないし、
後にレコーディングを始めたのかもしれない。
何にしても特に佐藤伸治にとっては
(誤解を恐れずに言えば)いい気分転換になったんじゃないか。
 
「耳と目そしてエコー」で聞けるのは内省的で、未完成で、繊細な音。ナイーブな音。
佐藤伸治のパーソナルの核となる部分にはフィッシュマンズだけがあるのではなく、
フィッシュマンズが絶対なのではなく、
いろんな引き出しがあってそのひとつが MariMari であり、
佐藤伸治の抱えていたものは僕らが思っていたよりも広くて深く、
僕らに差し出されたのは、残されたのはその一部分でしかないのだな、ということを思わせる。
 
ちなみに、当時 MariMari佐藤伸治の恋人だったというのをどこかで読んだことがある。
これも本当かどうかはわからない。
それが音楽的にどういう影響を及ぼしたのか、及ぼさなかったのか、というのはもっとわからない。
 
MariMari は1999年の佐藤伸治の死の後、
より積極的に音楽活動を進めようとした、という印象がある。
関係はなく、たまたまかもしれない。たまたまだろう。
2000年には MariMari Rhythmkiller Machinegun として活動開始。
メンバーは他に茂木欣一と、ヒックスヴィルだった木暮晋也。
2000年の「US」を初めとして2枚のアルバムと何枚かのマキシシングルを発表した。
しかしその活動も数年で終わる。
今調べたら最後のマキシシングルの発売が2001年だった。
 
今回購入した 「TTAGGG / Since Yesterday」はそのマキシシングルの1枚。
”Since Yesterday” はもちろんあの曲。
そのままコピーではなく、日本語詞をつけている。
原曲のイチゴのショートケーキみたいなスイートな感じは皆無、
少し大人になった、少しこなれた、MariMari を聞くことができる。
 
10数年前、大阪のアメリカ村で『King Kong』がまだ大きな店舗を持っていた頃、
中古で安く見つけた。迷って、いつでも買えるかと見送ったらその後なかなか見かけない。
出会えてもやたら高かったり、出会ってもその時の気分じゃなかったりで
思いがけずかなりの時間がかかった。
……と思いきや、自分のCD棚を見たら1枚あった。
いつのまにか記憶の中で MariMari の他の CD と入違ってたんだろうな。
 
その後の活動はないわけではなく、
山崎ナオコーラ人のセックスを笑うな』が2008年に映画化されたとき、
そのサントラを元フィッシュマンズHAKASE-SUN が手掛け、
その中で MariMari フィッシュマンズの”いかれたBaby”を歌っていた。
その後のことはよくわからない。
MariMari という名前のグループは検索するといくつかあるようだが……)
 
「耳と目そしてエコー」が名盤すぎて、このアルバムのことだけで終わってしまった。