「グッバイ、レーニン」

金曜は渋谷シネマライズで「dogville」を見た後、
恵比寿ガーデンシネマで「グッバイ、レーニン」を見た。
平日だったのにほぼ満員で、会社休んで見に行って正解だったと思う。
スーツ姿の会社員もちらほら座っていて、
「あーさぼって見に来てるのかな」と思う。


舞台は東ドイツ
ベルリンの壁崩壊直前に心臓発作で倒れ昏睡状態の続いた母親。
8ヵ月後奇跡的に意識を取り戻すが、
その間東ドイツという国はなくなってしまい、急速に社会は変わってしまった。
もう1度発作を起こすと命に関わると医者には言われている。
熱心な愛国者だった母が目にしたらショック死しかねない。
そんなわけで息子が姉や恋人や友人を巻き込んで東ドイツが存在し続けるふりをする、
スーパーから消えてなくなった東ドイツ製のピクルスやコーヒーを探し回り、
挙句の果てには架空のニュース番組まででっち上げる、
そんなストーリーのコメディ。


これがまたとにかく泣かせる。
ほろりとさせられる。うっすらと涙が出た。
ミスティック・リバー」はいくら悲しくても涙は出てこないが、
こちらはもう泣かないと嘘でしょう、ぐらいの。
心地よい涙を流せる。
(でもこれって母と息子の関係性を描いたものだから
男の子の立場からすると号泣ものなんだけど
女の子の立場からするとどうなんだろうな)


「dogville」がそもそも
・映画で表現できることって何か
・映画で何を表現すべきか
ってところにいちいち踏み込まずにはいられないような「疲れる」映画だったので
その後で「グッバイ、レーニン」を見てしまうと爽快なことこのうえない。
難しいことは何も言わず、楽しんでくれよ楽しもうよと優しく背中を押されているようで。


ラン・ローラ・ラン」「es」と話題になったドイツ映画を
いくつか見てきた中でどれもピンとこなかった僕ではあるが、今回はやられた。
ドイツ映画としてどうこうという以前に、普遍的な映画として優れているのだろう。


ドイツでは記録的な大ヒットになったようであるが
日本にもこういう作品は出てこないものか。
宮崎駿ってことになるのだろうか。あるいはドラマの映画化か。
オリジナルの実写で何か出てこないもんかねえ。

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いい映画にも2種類あって、
知っている言葉をありったけ用いて口から泡飛ばして語りたくなるものと、
「うまく言えん。いいからとりあえず見ろ!」で終わりにしたくなるものと。
今回は典型的な後者。★5つ級でお薦め。