VX-1000

昨日の夜、大学の映画サークルの後輩イマナリに会って、
イマナリが持っていた SONY の DV カメラ「VX-1000」を借りる。
僕らが映画を作っていた頃一世を風靡した機種。
30万ぐらいはしたはずであるが、各大学の自主映画人はこぞってこれを買ったはずだ。
お金の無い若い学生たちは「なんとかして買えないものかなあ」とため息をついていた。
日夜バイトに明け暮れた末にようやく購入へとこぎつける。
それを部室に持っていくとみんなから「すげー」と注目の的になる。
こういうのってバンドのサークルでもテニスのサークルでも
何かしらそういうアイテムがあるのだと思う。


僕はもちろん買えなかった。
「Hi-8」という DV(デジタル)ではない規格の、
家庭用の普通のビデオカメラの割と高めのを買うのが精一杯だった。
僕が映画を作っていた頃はまだ DV が出回り始めたばかりで、
ビデオ製作といえばまだビデオデッキ2台を繋げてやるのが一般的だった。
あの当時はサークルの中でも僕が一番そのつなぎがうまいってことになってたんだけど、
(ジョグシャトルの回し方、再生ボタンと録画ボタンを同時に押すタイミング)
あっという間に廃れた技術となってしまった。
映像だったらビデオデッキとビデオカメラとの間にテロッパーを挟んだり、
音声だったらミキサーを介してギターのエフェクターに繋ぐといったような実験をしてみたり。
あれこれ機材を揃えて複雑な配線をして、というのが今は全く持って不要。


「手の平サイズ」という言い方によく現れているように
ビデオカメラはどんどん小型化へと向かっている。
一方「VX-1000」はかなり大型で
ドラマや商業映画の撮影で使用するカメラに雰囲気的には近く、
「映画を撮っている」という気分にさせる。
今度の土曜は「会社の人たちと映画を撮っている風景を撮る」
というコンセプトの撮影を行うので、
画面の中に出てくるカメラはでかい方がさまになるだろうと思った。
カメラ屋で働いているイマナリは「オカムラさん、なんなら店にある肩乗せを貸すんでもいいですよ」
と気を利かせてくれるのであるが、さすがにそれは断る。
「肩乗せ」とは肩に乗せるタイプのさらに大型の本格的なカメラのことを指す。

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イマナリの仕事が終わってから、イマナリが職場の人たちとよく行っているという
中野の裏通りにある韓国料理屋でメシを食う。
ここの韓国人のママが話し好きで「あの人どしてる?」などとあれこれ話し掛けてくる。
携帯に送られてきたメールを「この漢字なんて読む?」と読まされて
どうもそれが「懇意にしていた女性からつれなくされて今酒を飲んでいる」とかいうものだったりして。
「おーあの人ひどいねー」なんて。


イマナリは大学では後輩にあたるが年齢は一緒。
この年にもなって映画を撮ることの意味ってなんだろうね?
そんな話をする。

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最低限の技術(映画文法)を身に付けようと
「一人でもできる 映画の撮り方」という本を書店で見つけ、読み始まる。