お台場で観覧車

昨日の夕方、ふと、麻婆豆腐が食べたくなる。
お台場デックスの中の「台場小香港」に麻婆豆腐の専門店があることを思い出す。
以前行った時は微妙に混んでて入れなかったんだよな。
仕事を定時に終えると後輩たちを引き連れてゆりかもめに乗ってお台場へと向かう。


平日の台場小香港はやばいぐらいに客が少ない。
実際のところどうなのか、店が入れ替わったのかどうか、詳しいことはわからないが
バイキングだの回転飲茶だのチェーン店の定食屋っぽいのだのばかりで
本格的な店はなくなってしまったような気がする。元からこうだったのか。
麻婆豆腐の店もガラガラで店員が暇そうにしていた。
外の券売機で食券を買う。麻婆豆腐、ライス、スープ、ザーサイのセット。
杏仁豆腐や豆乳が追加されたセットもあった。
前に来て諦めたときは激辛と普通が選べたように思うが、今は選べなくなっているようだ。
カウンターの席に6人並んで座る。僕はビールを頼んでザーサイをつまみに1人チビチビと飲む。
やがて麻婆豆腐が運ばれてくる。ご飯にかけて食べる。結構辛い。
ぶつ切りのネギが入っているのが印象的。
まあそこそこいけてるのだが、麻婆豆腐の専門店なら
木場のイトーヨーカドーの隣の「深川ギャザリア」の中にある
陳健一麻婆豆腐店の方が断然うまい。ここよりも安いし、辛さも3種類選べる。
ここの近くで仕事をしていた時は週に1度必ず食べていた。
Aが大辛でBが中辛、Cが甘口(辛さゼロ)。
AとBの中間で、とか、Cにトッピングで辛いラー油だけ別出しで、とか
凝ったオーダーもするようになった。
こってり系なんだけど、辛さそのものは深みがあって爽快なもの。
さすが料理の鉄人が専門店として出店するだけはある。
比較するとデックスの店はなんというか
1種類の唐辛子をたくさん使うことで出てくる一枚岩的な辛さだった。
そもそもザーサイ1つとっても陳健一の方がツヤツヤした食感があっていい。


その後、下の階でアイスクリームを食べる。
3人先に帰って、残りの3人で砂浜まで下りていく。
お台場から対岸の東京の夜景を見る。
あちこちで瞬いてにぎやかなはずなのに川を間に挟むとなんだかひっそりとしたものに感じられる。
その川の上に屋形舟がポツリポツリと浮かんでいてほんのりとした淡い光を放っている。
昼は暖かかったのに夜になるとぐっと冷え込んで寒いぐらい。
カップルたちの姿も少ない。


1時間前に駅に降り立った時、「観覧車だ!」と後輩の1人が言っていた。
それを思い出した僕は「乗ってみる?」と後輩の女の子2人を誘う。
パレットタウンの方へと一本道の通路を歩いていく。
お台場と言って思い出すのはレインボーブリッジとフジテレビの社屋と観覧車。
青やピンクに染まった艶やかな姿が会社から毎晩見えるのにこれまで乗ったことがなかった。
トヨタのショーケースを通り抜けて観覧車の真下へ。
すぐ目の前にして見てみるとものすごく大きい。
地上から115mで1回転16分。
世界最大の観覧車ということでギネスブックにも載っているという。
料金は1人900円。4人以上だと6人まで3000円。
通常のゴンドラ型とシースルー型とを選べることになっていて、
シースルーは数が少ないからか30分待ち。ゴンドラの方にする。
乗る前に記念撮影がある。ただでもらえるのかと思ったら帰りに500円で販売していた。
枠の中に他の組の写真が並んでいるのが、僕ら以外みなカップル。
そうだよなあ。観覧車って普通カップルが乗るもんだよなあ。
ただ単に景色を見たいがために乗ったりはしない。
乗り込むとアナウンスで「今日は何度2人きりになりましたか?」問い掛けられ、
その後ずっと恋する若い男女のデートの模様をモチーフにしたアナウンスが
「わーきれい」とか言いながら続いた。僕ら3人は恥ずかしそうに笑うしかない。


先ほど砂浜で見たのと同じように、東京タワー方面の夜景を眺める。
眺める対象は同じものなのに
高さが加わったり、観覧車でゆっくり回ってるという状況があったりすると風景が全然違うものになる。
眼下にお台場を見下ろす。
恋人たちが群集い、楽しそうに時間を過ごすお台場。
その遥か向こうに東京。どこまでも遥か彼方まで東京。
観覧車はゆっくりゆっくりとその頂点を目指して進み続ける。


頂点に達した頃、後輩たちはキャーキャー騒ぎ始める。
「た、た、た、立ってみていいですか?」
立ったら立ったで「手、離してみていいですか?」
パッと手を離して「うわー」「うおー」
生まれて初めて観覧車に乗ったかのような大はしゃぎ。
素朴に「女の子っていいなあ」と思う。
シースルーだと座ってる真下まで見えるはずであって。さらに絶叫だな。


16分はあっという間に終わる。
その後なんとはなしに併設の東京レジャーランドのお化け屋敷に入る。
女の子たちはついさっきとはまた別の次元でキャーキャー叫びまくる。
「帰りたーい」「もう出ます〜」半分泣きが入っている。
無人で仕掛けが動くだけの単純なものなので僕自身は全然怖くない。
上から何か落ちてきたときにタイミングが合ってたりするとギョッとするぐらい。
もう何年も前に富士急ハイランド
思わず腰が抜けそうになった体験をしたのと比べたら全然たいしたことない。


お台場の駅に向かう途中で見つけたカフェのような店に入って軽く飲んで帰る。


4月に入ってからプロジェクトが一山超えて毎晩のように飲んでいる。
先々週はほんと月曜から金曜まで飲んでいた。
先週は水曜と金曜だけだったが、今週は月曜から飛ばして結局火曜も飲んでしまった。
はっきり言ってお金が続かない。
1月の死ぬほど働いて死ぬほど稼いだ時の残業代を掘り崩して飲んでいる。
でも楽しいときってなかなか続かないからなあ。
そのときが来たら惜しまず楽しまなくてはならない。
このまま飲み続けてゴールデンウィークに突入か。
とりあえず食い過ぎで太った。かなり太った。