つらつらと

昼休み、会社の外に出て竹芝桟橋から海を眺めた。
空は晴れていて温かく、気持ちよかった。
広場ではどこかの会社の社員たちがサッカーをしていた。
レストランクルーズの船がちょうど出るところで、
にぎやかな音楽と共に埠頭から少しずつ離れていった。
僕のようにブラブラとなんとはなしに過ごしている人たちがちらほらといた。
新入社員の頃のことを思い出した。
やさぐれて、友達を作ろうとしない僕は1人で店に入って昼食を食べて、
食べ終わると研修会場の近くの公園のベンチで小説を読んで過ごした。

船を眺めた。
フェリー。タグボート。タンカーのような大きな船。
遠洋漁業の漁師はさすがに大変だが、
なんかそれ以外で航海を専門とする職業について小さな頃からずっと憧れている。
タンカーの航海士であるとか、海洋の調査・研究のための船であるとか。
孤独と向き合う性質の職業というイメージがあるからだろうか。
実際のところはよくわからない。
どれだけ精神的・肉体的にきついのか。素人には窺い知れないものなのだろう。
見渡す限り単調な海面が続く。
僕はシンと静まり返った(実際にはどれだけ物音がしてようと)通路を歩いて
とある部屋に入って計器の値をチェックする。
また別の部屋に入って計器の値をチェックする。
食事をとる。同僚たちと雑談をする。眠る。
目が覚めたとき、窓の外には昨日と全く同じ光景が広がっている。
僕は制服に着替え、計器のチェックを開始する。

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世の中には船に乗るのが仕事の人たちがいる。
飛行機に乗るのが仕事の人たちがいる。
宇宙船に乗るのが仕事の人たちがいる。
新幹線に乗るのが仕事の人たちがいる。
人力車に乗るのが仕事の人たちがいる。
カヤックに乗るのが仕事の人たちがいる。
もちろん、自転車や自動車に乗るのが仕事の人たちがいる。
A地点からB地点までその運送手段を移動させること、
そしてそこに生まれる付加価値を提供すること。

その仕事の危険さ。死と向かい合う度合い。スピード。
その運送手段の歴史、誕生と発達の歴史。
習熟に当たって必要とされる期間。得られる資格。

今目の前をゆっくりと通り過ぎていく船を操縦するには
いったいどれだけの訓練を必要とするか。

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学生時代に訓練なり指導を受けたりで国家資格をとって
それでその後暮らしていくというのに憧れる。今さらながら。
そういうのってもちろん今からでも始められるんだけど、取りたい資格はなし。
学生時代なのか、それとも高校のときなのか、
そういう選択をした人を純粋にすごい・偉いと思ってしまう。

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来週末、久し振りに青森に帰ろうとかと考え、新幹線の切符を取る。
が、休みはまだ申請していない。まあいいか。
行き帰りの新幹線の中で何を読むかが目下のところ一番の関心事。
・「ブラックジャック」をひたすら読む
・最近書き始めた小説を書き進める
・妹に運転してもらって弘前城の桜を見る
・可能なら温泉にも行きたい
などなど。
来週末帰ったとして、さらにその次はいったいいつになることか。

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最近また「じみへん」にはまって昔のを読み直している。
でも最新刊はあんまり面白くなかった。盛りを過ぎてしまったか。