「世界の終わりに」編集開始

この前の日曜日、30日に「世界の終わりに」の撮影を行った。
風景ショットのシューティングならばこれまでに2日やったけど、
人を集めての撮影はスケジュールの関係上この日のみ。一発勝負。
しかも全員が会社の人で、そのうちほとんどが映画の現場なんて初めてなので
うまくいく保証なし。というか学生時代やってたよりもはるかに失敗する可能性が高い。
10月の間ずっと、この日の撮影のことばかり考えては不安に苛まれていた。
「どうしようどうしよう。ああ、どうしよう」
もう、仕事をしていても頭の中そればかり。手につかなかった。


それがどうにか終わらせることができて、精魂尽き果てた。
月曜なんて具合の悪さに死にそうだった。
今もかなり腑抜け。


今日はありがたくも祝日だったので朝からずっとキャプチャにいそしんでいた。
(キャプチャとはDVカメラからPCのハードディスクに取り込んでいく作業のこと。
 高速でできないため、60分テープなら最低でも60分必要とされる。
 モニターで内容を見ながら「ここは取り込むか」「ここは飛ばすか」という感じなので
 本気でやってるととても時間がかかる。少なくとも倍の時間は必要とされる)


見たくて見たくて仕方がなかった。
「いい絵が撮れたから愛でたい」というよりは
「どっかで失敗してんじゃないか?」っていうのが気になって。
一通り撮影した内容をチェックして、ようやく一息つく。
細かい部分では難ありな箇所が多々あるんだけど、
まあ編集でなんとかなるでしょうってものばかりなので
一応、最低限のラインは超えることができた。
少なくとも「・・・撮り直しだ。また役者を集めて、車とドライバーの手配しなきゃ・・・」
ってことにはならない。この前の30日でクランクアップ。


撮影のときに気付いていた問題点としては、次に挙げるようなのがあった。
・海ほたるで風の音が強くて声が拾えてないのでは
・冒頭のアドリブの会話が脈略無くて繋がらないのでは
・声がそもそも小さいのでは


それに、
・撮影時に液晶モニタで見てて「OK」と思っていても、
 実際に画面で見てみると光や色の雰囲気が違うので要注意


ってのがある。


2時間半分のテープを最初から全部見直してみて、
海ほたるについては思ったよりもひどくなかった。
でも、声が小さくて聞き取りにくい箇所はどうしても出てきてしまった。
聞こうと思えば会話を聞き取れるが、
聞こうとしなければ聞こえない。思いっきり聞きとばしてしまう。
周りの状況音の音量も上がることを覚悟で、その場面全体の音量を上げるか。
思い切って音をばっさり捨ててテキストを表示して伝えるか。
悩ましい・・・。


これはまだいい方で、もっと気になったのはレンズにくっついた埃の問題。
レンズの表面に埃がついていても焦点はもっと奥、人やその背景に結ばれるので
その埃そのものが映ることはまずない。
しかし、ふとした瞬間にその周辺が白くぼやけてしまう。
何もなかったところに人の頭がひょっこり現われるというように、
光のコントラストが急激に変わると妙に画面の一部分だけ白っぽくもやっとする。
デジタルのカメラで明るさを自動調節にしていると、どうしてもこうなる。
かと言って手持ちの視線ショットの映画で
いちいちピントと明るさをこと細かく設定して回るわけにもいかんし。


これ、見てて気付かない人は一生気付かないんだけど
見る人が見たらすぐ分かっちゃうんだよな。で、興ざめとなる。
ものすごく初歩的なミス過ぎて。「こんなこともケアできない素人?」って感じで。
いやー。前の日の「明日は撮影だ・・・」という不安を解消するために
レンズを布で拭くという普段やりなれないことをしたのが思いっきり裏目に出た。
レンズの掃除にならず、埃をくっつけただけだった。
撮影の間、強い風に煽られてその埃が飛んでいくというようなことはなく、
最初から最後までしぶとく画面のその部分に埃がくっついたまま。
というか今日見たらまだ、レンズにその埃が付着していた。


ま、これら問題山積みなものの要所要所ではいい絵が取れたのでなんとかなりそうだ。
主役の3人は全くの素人で僕の映画に出るのも初めてだけど、
思っていた通り演技というかカメラの前での存在感にはとてもいいものがあった。
下手な役者よりはよほどアドリブがきくし。
長回しで人がたくさん出てきて動くような場面は今回ほんとうまくいった。
自然なものになった。
(いつも通り過ごさせて、何も指示しないで好きなようにさせていたから、というのもあるけど)


あとは繋ぐだけか。
次の土日も部屋の中に閉じこもってがっつり編集。