「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」


引き続き、2日の話。
その後、ミキさんがたまたま渋谷に来ていたことを Twitter で知って、
タワレコで時間をつぶしたのちに落ち合って昼メシを食べる。
便利な世の中になったもんですね。ミキさんにお会いするのも何年ぶりか。
元々行くつもりだった「もうやん」へ。牛筋を食べる。
午後の予定が同じ方面だったこともあって一緒に山手線に乗ってグルッと回る。


午後は「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」
http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/


地下鉄を乗り継いで清澄白河駅東京都現代美術館へ。
MOTで開催とあったのを森美術館と僕は勘違いしていて、
 ミキさんに指摘されなかったら、というか出会わなかったら、
 僕は迷わず六本木まで歩いていた)


駅を出て10分ほど歩く。
美術館まで「かかしコンクール」の作品が並ぶ。マツコ・デラックスなど。
公園のような広大な敷地に平べったい建物が見えてくる。
そういえばこの美術館、入るの初めてだったりする。
どの最寄の駅からも遠くて不便とか、発想がバブル時代のものだとか
あれこれ不評を目にすることがあってこれまで無意識的に遠ざかっていたのですが、
実際どうなんでしょうね。そんなに居心地の悪い空間ではなかったです。
国立新美術館とあんまり変わらないぐらい。


中へ。平日なのでさすがに空いてるかなと思いきや
入場券を買うだけでも行列になっていて10分ぐらい待ったか。
展示室に入っても再入場禁止、場所によっては逆方向への移動禁止。
予想以上に混雑していた。8日に終わるから僕みたいな駆け込みの人が多いのかな。
夏休みが終わって9月に行くのがよかったか。
これ土日だと子供連れで収拾つかなくなりそう。


や、ほんと空いてるときにじっくり見たかった…
大半が牛歩の人垣から覗き込む感じだったので最初から割とどうでもよくなり。
特撮映画の部屋がもう何が何だったか。
日本沈没』の東京タワーのミニチュア、『海底軍艦』の「轟天号」の模型など
サーッと眺めて終わり。おおっと思ったのはメカゴジラのスーツぐらいか。


次の部屋がウルトラマン
母校の先輩成田亨の原画が飾られていたのは嬉しいですね。
ここだけはしっかり見た。今回は「科学特捜隊基地」のデザインに感心させられた。
ブースカミラーマンといった特撮もののマスクなどを飾った通路を経て
本題のミニチュアへ。ごく普通の民家から、
ジャッキー・ブラウン』や『タイタニック』の看板の掲げられた渋谷パンテオン
崩壊する国会議事堂まで。館長:庵野秀明も説明文に書いてたけど
電柱や街灯といった何気ないものの細部まで手を抜かないリアルさがグッと来ますね。
そして薄暗い特撮美術倉庫。戦車や機関車が埃っぽい棚に詰め込まれていて
天井からはゼロ戦が吊り下げられていて。ゴジラの足なんかも。
ここが一番よかったなあ。


中心部に差し掛かって、特撮技術の部屋。
最初に円谷英二に敬意が評されている。
ミニチュアと遠近法の関係性を解説したり、
職人がビデオでカラータイマーの仕組みを語ったり。
ゴジラのスーツ造りだけではなく、木工や板金といったカテゴリも紹介していて、
タイトル通り「昭和平成の技」を感じさせた。
これらが今、継承されずに無くなっていってるんだろうなあ。
どこかで見かけた解説文にはミニチュアのビルの窓というものは
かつて職人が魔法のように組み上げていたものなのだと。
今はコンピューターに入力してその通りにレーザーが仕上げるようになった。


後半はもうひとつの目玉。
今回のために特別に撮影された特撮短編『巨神兵東京に現る』の本編上映と
その撮影・準備風景のあれこれ。
それにしてもよく大真面目にこういうの撮ったよなー。
こういう企画展がきっかけにならないと撮影まで漕ぎつけないでしょうね。
風の谷のナウシカ』の巨神兵が東京の上空に現れ、全てを薙ぎ倒して破壊する。
CGではなくミニチュアで東京の街を再現するというのがすごい。
そしてそれを惜しげもなく本当に壊してしまうのがもっとすごい。
思わず2回見てしまった…
東京タワーがグニャッと曲って木っ端微塵になる。
(やっぱスカイツリーじゃないんですね)


でも、なぜここに巨神兵が?
若き日の庵野秀明が『ナウシカ』のその場面を担当したからなんでしょうけど。
一見結びつかないウルトラマン巨神兵とを「特撮」の一言で結び付けてしまった
というこの世界観の大胆さが成功の秘密なのかな。


地下はスペースいっぱいに広がったミニチュアのスタジオ。
ここだけは写真撮影OKということで、行列になって皆記念撮影。
並んでたら時間食ってしまった…


最後、駆け足で常設展も見る。
アンディ・ウォーホルの『マリリン・モンロー』や
ロイ・リキテンスタインの『ヘア・リボンの少女』が有名ですが。
ゲルハルト・リヒターピピロッティ・リストもあるんですね。
奈良美智もたくさんあった。


気になったのは、クリスト&ジャンヌ=クロードという
夫婦のアーティストによる傘をモチーフにした連作。
日本とアメリカで巨大な傘を無数に広げるというプロジェクト。
現実に侵食する幻想の風景として斬新なものがあった。
どこかで聞いたことあるなあと思って帰って来て調べたら
パリのポンヌフ橋であるとかを「梱包する」作品で有名なアーティストなんですね。
気になった人は見てみてください。
http://christojeanneclaude.net/projects/the-umbrellas


そんなこんなで。かなり消化不良。
もう一回見たいなあ。