サイトとしてのHMV論(を書きたいのであるが・・・)

僕の印象として、オンラインで CD を買えるサイトとしては
HMV のサイトと amazon この2強による独占状態なのではないかと思う。
(感覚的な印象でしかないので、実際はタワーの方が売れてるのかもしれない。
 すいません。統計情報を持ってません)


HMV のサイトについてはいつか何か書きたいと思っていた。
僕が入社した当時の99年は
EC サイト構築が新時代のビジネスとしてもてはやされていた時代であって、
僕が初めて所属した PJ は CD やビデオを販売するサイトの構築を行なっていた。
そしてちょうど同じ頃、HMV のサイトがオープンした。
輸入盤がネットで買える!いちいち都内の店舗を探し回らなくてもいい!と興奮したものだ。
あれから7年。ずっと利用している。
その変遷をずっと見守ってきたつもりだ。
ときにはクレームのメールを送ったり、電話もかけた。
これまでの購入総額は100万を超える。
yahoo ! と google を抜かせば、一番見ているサイトは僕の場合 HMV だったりする。
ぼんやりと新譜の紹介を眺めていることもあれば、
普通誰も知らないようなバンドの普通誰も知らないような昔の作品を
ふと思いついて検索してみたりしている。


7年もってるってのはすごいことだ。
その間、例えばアメリカから CDNOW が進出してきて、早々に撤退した。
(その CDNOW も amazon に吸収された)
僕が配属当初に関わった EC サイトも何年かがんばったけど、
結局サービス停止となった。


時間があったら HMV のサイトについて
レポートのようなものを書いてみたいんだけどな。
IT 業界にいて EC サイト構築に主に関わってきた人間として。
この7年間であれこれ HMV のサイトも進化を遂げ洗練されてきたけど、
ユーザーの利便性、システムの合理性/コストという観点からし
ここがポイントなんだろうなと気になる点は以下の2つ。


①商品の検索とそのリスティング
②配送(パッケージング)


HMV のサイトはここの部分が定期的に作り変わっている。
試行錯誤が伺える。


①の検索はこういうサイトの「肝」ですよね。
豊富なカタログを謳っているのならそれが的確に、確実に、少ない手順で引き出せるということ。
その検索に要する所要時間がユーザーにストレスを与えないものであること。
検索結果のソートがスムーズであること。
(タイトルのアイウエオ順で最初表示されたものが、発売日や価格順で「瞬時」にソートできること)
そもそも見やすい、操作しやすいということ。
HMV もあるとき、20件表示とか50件表示とかやめましたよね)
などなど。


こういう検索は Oracle Text がいいのか、
それとも無駄のないカタログマスタを作成して、データのメンテナンスを日々行なって、
検索のチューニングをひたすら繰り返してを地道に続けるか。


HMV のサイトはこの検索ロジックをつい最近大きく入れ替えしたように思う。
昔はひっかかったものが出てこなくなったり、
大物アーティストを検索しても出てこないというような不具合が一時期、こっそり頻発していた。
たぶん何食わぬ顔をしてバグ修正していたのではないか。
※間違いだったら、ものすごくごめんなさい。


②は要するに物流。
今はどうかよくわかんなくて、お手軽に ASP でできてしまうのかもしれないけど
(いや、そんな簡単に適用できるわけがない)
ECサイトにおける2大障壁は決済(クレジットカード決済)と物流だった。


物流って言っても考えるべきは2種類あって、
商品・配送データの連携方法と、実際の配送。


前者について。
HMVの場合自社で在庫を持っているから楽かもしれないけど、
 自前で在庫を持っていない会社が EC サイトで CD を売ろうとすると
 卸の会社に発注するためのデータ連携も発生して、たぶんそっちの方がめんどくさい。
 在庫の薄い商品が発注された際のステータス管理とか)
僕が新人だった頃は全銀 BASIC 手順で EDI というたいへんなものだった。
今は SOAP がメインなのかな。サイト周辺の関係するシステムとのデータ連携は。
なんにせよ技術革新がなされるたびに
速さとか安定性の追求のために絶えずそれが反映されていくから、
ずっといたちごっこが続いているように思う。・・・話が長くなり技術的になるので割愛。
(その一方でカード決済は接続先が固定的なカード会社であるわけだし、
 落ち着いてきた感がある)


で、この部分については HMV のサイトについては何もわからないんだけど、
後者の「実際の配送」ってとこで言えば
1年か2年に1回ぐらい具体的なパッケージが形状が変わっているし、
それに伴って送付状も少しずつ変わっているように思える。
以前は CD 1枚が送られてくる場合はそれがぴったり包まった分厚い封筒みたいだったのが
今はたった1枚であっても
商品を包んだビニールを底に固定したスカスカの大きな箱で送られてくる。
たぶんこれが一番合理的なんだろうな。
昔は商品の発送数量や形状に合わせて箱を何種類か用意していたのが、
「大きな箱」とたぶん「もっと大きな箱」ぐらいに淘汰されたのではないか。


もちろんこの話は単純に箱のコストの問題ではなくて、
そこに商品を詰める配送センターのオペレーターの作業効率も絡んでくる。
HMVはあるときから商品によっては24時間で発送可能となった。
これは恐らく配送センター内の大きな倉庫に売れ筋商品を置くようになったわけで、
その図書館的な棚の区分けみたいなのを工夫しないことには業務が追いつかない。
(なお、この倉庫には受注されたけどキャンセルされた商品もここにストックされているはず。
 時々マニアックな商品が24時間で発送可能となっているのはそれが理由なのだと思う)


あと、僕の記憶が確かならば、
以前はヤマト運輸だったのがサイトオープンから2・3年目で佐川急便に変わった。
これってシステム的に大きなインパクトだよな。
何かがあったのだと思う。ただ単に契約的な何かかもしれないし、
HMV の求めるサービスの質を提供できるかどうかで意見が食い違ったのかもしれない。

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取り止めがなくて申し訳ない。文章とっちらかり過ぎ。
あれこれ書きたくて追いつかない。


まだまだあるんだよな。
調べたいし、語りたいこと。


・キャンセルされた商品の扱い。どこをどう経由してどこに収まるか。
(なお、メールか電話ではなくて、サイトからキャンセルが行なえるようになったのは
 HMVが先駆者的に速かったと僕は思う)


・バックオフィスの業務。問い合わせ管理や請求管理、売り上げ管理、顧客管理もろもろ。


・結局リアルな店舗を持ってるところがサイトを作った方が強いんだよな、
 という今となっては当たり前なこと。「ブランド」の力ってやつ。


・都内では撤退してしまった完全に落ち目な virgin は
 サイトオープン当初はネットで買えなかったし、
 買えるようにはなったものの最近サービスを終了してしまった。


・リアルな店舗と、サイトとの融合。緊密化。
 立ち上げ当初は HMV のサイトはリアルな店舗とは完全に別物って感じがあったけど、
 例えば HMV の店舗だけの初回特典(つまり、タワーや新星堂にはないという特典)が
 サイトで買っても同じようにもらえるようになった。


・ビジネス戦略の軸。
 今はどうかわからないけど、何年か前に調べた時点ではタワーのサイトって
 単純に店舗の1つという扱いをされてたんですね。
 で、確か HMV のサイトはそういう並びになかった。
 もっと大きな位置づけをされていたように思う。
 リアルに商品を販売している企業が EC サイトを立ち上げるっていうとき、
 そのサイトがどこの部門に属するのかって大きな問題ですよね。
 販売や営業のセクションなのか、それとも「新規事業」ってことでポーンと外出しされるか。



などなど。


今日はここまで。
後日、きちんと書く機会はあるのかな。。





つうか僕の言ってること、業界7年目にしてはかなり浅いよね。。