出版社倒産、その後(その2)

どうしようか迷った挙句、
一応僕も倉庫に眠っている本を引き取ることにした。
5月末に、本のタイトルや名前・住所・電話番号とともに
身分を証明する書類ってことで保険証と運転免許証をコピーしたものを
FAXで倉庫業者に送って、次の日電話してみた。
今回の出版社倒産の件で担当の方はてんてこ舞いで、
常に何十件と対応に追われていたようだ。
電話口で「すぐには対応できない」と謝られる。


調べてもらったら僕の本は159冊、保管されていた。
最初に500冊刷ったうち、
50冊は出版社が各所に配って、50冊は僕が受け取ったのだから、
1年で200冊ほど売れたということになる。
はー。けっこう売れたもんだね。
amazon では月に何冊か継続して売れていたから、
あと一押しなんかがあったら完売したのかもなー。
そう考えると残念だ。


1冊につき引き取り料というか保管料は
定価の2割を支払わなくてはならない。
破産管財人が掛け合った結果、そういう結果となった。
159×1000×0.2で3万ちょいとなる。
それぐらいなら払ってもいいかなと考える。
プラス送料、冊数や厚さ・サイズにもよるがだいたい5000円ほど。


1週間ほどしたら引き取り料の見積もりをお知らせできると思います、
と倉庫会社の人に言われる。
しかしその後音沙汰なく、「ああ、忘れられたのかなあ」と思う。
「ま、いいか」と諦めがつく。
それはそれでいいか。そういうものなのだ。


3週間ほど経過して、
ようやく先週中ごろ留守電にメッセージが。
結局209冊倉庫に保管されていて、
正確な金額は忘れたが、4万3千円ぐらいになるとのことだった。
プラス送料。5万円ぐらいになる。
けっこうな額。
「だったら、もういいや」と思う。
確かに、自分で書いて出した本は自分の分身のようなものだ。
だけどこの200冊、手元に置いていたところで恐らく
ただの紙の山にしかならない。
amazonマーケットプレイスで売ろうかとも考えたが、
たぶんそんなに売れないだろう。
2ヶ月に1冊売れるかどうか。手間の方がかかりそうだ。


とはいっても全部裁断されるのは忍びないので、
間を取って50冊だけ引き取ることにした。これなら1万円ちょっと。
倉庫会社に電話して、そのむね伝えた。
担当の方は忙しそうだった。
入金期限を聞いたら今月いっぱいでお願いしますと言われる。
今回の碧天舎の件、倉庫会社としてはなんとか今月でけりをつけたいのだそうだ。


そのうち届く50冊をどうしたもんか。
何年かかけてゆっくりと配ることになるんだろうな。
僕がいつか結婚するときに2次会の景品にするとか。
万が一小説家になれたらサイン会の特典にしよう!と思いつき、色めきたつが、
その瞬間思いっきりわびしい気持ちになった。


とにかくこれで本の件はおしまい。


何度も何度も書いてますが。
買ってくれたみなさん、ありがとうございました。