永遠

彼女はパーティーへの出席を求められた。
招待状の代わりに、馬車が差し向けられた。
雷雨がアスファルトを打つ。
窓の向こうを名も無き人々が通り過ぎる。
御者は馬に鞭をくれる。
門番は大声で、見知らぬ国の言葉で時を告げる。


終わりのないパーティーだった。死をもってしても免れることはできない。
一度でもその場に足を踏み入れたならば二度と出ることの許されない、
永遠の享楽、永遠の退廃。
光と闇が交錯し、人々の影が行き交う。
ある部屋ではネオンとストロボが瞬く。ある部屋は海の底のようだ。
泣き叫ぶような笑い声が聞こえる。気違いじみた、引きつった笑い声。
囁いて、耳元で囁いて、無言のまま長い時を過ごして。


安っぽい舞台衣装を彼女は与えられた。
銀の燭台を手にして、果てしない回廊を先へと進む。
白い仮面を付けた女が目の前を横切る。白いドレス、白のマニキュア。
彼女の存在に気付いていない。
空いていた扉の向こうに消える、閉じられた扉は消えてなくなる。
彼女は、落とし穴に足を踏み入れる。


王の中の王が千年の深き眠りから目を覚ます。
広間の端に真紅の玉座が据えられている。
巨大なスクリーンが四方の壁を覆う。それは今青白い光を放っている。
そのうちの一つが百万年後のこの星の姿を、
愛し合う二人の人類の成れの果ての姿を、映し出す。


彼女は拘束衣に身を包み込み、盲いた人々に導かれ王の前に差し出される。
彼女は生まれてからの全ての瞬間を一瞬にして思い出す。
喜びに満ち溢れた日々を。悲しみに暮れた全ての夜を。
恋人たち。憎しみの気持ちを抱いた生き物たち。


王の姿はそこには無い。
彼女は束の間の王の不在を知る。
彼女は、彼女にとっての永遠の時間を、その広場で待つ。
彼女は百万年後のこの星の姿を、
愛し合う二人の成れの果ての姿を、見つめる。