前回の「ショーシャンクの空に」で味をしめて、
プレゼンルームを貸し切っての社内鑑賞会、第2回目。
こんなでかいスクリーンがあるなら何を見たいだろう?って考えたときに
思い浮かんだのは「パルプ・フィクション」
今この時期、もう一度見てみたくなった。
公開は94年。もう13年も前。そんなになるのか・・・
僕は上京2年目。大学2年生。
彗星のように現われてカンヌを制覇。
一躍時代の寵児となったクエンティン・タランティーノ。
あらゆるメディアを席巻したかのようで、いや、あの頃の勢いはすさまじかったなあ。
寮の後輩と見に行って「すげえ!」「面白れえ!」って興奮した覚えが。
その後、時間軸をパズルのように組み替える
タランティーノ的映画が雨後の竹の子のように出てきてそればっかりになった。
でも「パルプ・フィクション」を超える作品はついぞ現われなかったように思う。
(いいところまで行ったのは「LOCK, STOCK & TWO SMOKING BARRELS」だけかねえ)
パズルとしての精度はどこまでも向上したかもしれないが、
それって映画的完成度とイコールになるわけがなくて。
っつうかそこをイコールにしようとすればするほど、映画としてつまらなくなるわけで。
愛ですよ、愛。映画に対する愛情の深さ。映画を作る喜び。
それがどこまで込められているか。そこんとこ、直球勝負。
「パルプ・フィクション」の圧倒的な素晴らしさはやっぱそこですよ。
タランティーノのワクワクした気持ちが見る側にもダイレクトに伝わってくるという奇跡。
もっと言うとそのワクワクがそのままエンターテイメントになっているという奇跡。
当時タランティーノはそのパズル的脚本ばかり取り沙汰されていたけど、
今はそんな話誰もしない。
彼の熱くほとばしる映画オタク魂がどれほどのものかで評価され、
毎度毎度そのボルテージが下がらないから、
いまだタランティーノは愛されているのである。
見た後でそんなこと考えたけど、見てる間は頭空っぽになって全くもって夢中。
いやー面白かった。13年前の作品なのに全然古びてないのに驚く。
映画の殿堂入りだね。そんなのがどっかにあるとしたら。いや、どこかにあるべきだ。
サミュエル・L・ジャクソンのクライマックスのあの演説は
何度見ても映画的醍醐味としてパーフェクト。
ブルース・ウィリスがジャンク屋で日本刀を手にするシーンは
公開当初は荒唐無稽に思ったけど「kill Bill」を見た今では
「ああ、なるほどなあ」と思わず頷く展開だったり。
「見たのこれが2回目です」的楽しみ方もしっかりと堪能。
それにしても。
見直してみて記憶の中で細部がかなり変わってた。
ユマ・サーマンとジョン・トラボルタがツイストを踊るシーンは
もっとエキセントリックなものだと思っていた。
ブルース・ウィリスは最後大金を手にして去っていくのだとか、
ジョン・トラボルタはトイレでコミックを読みながら撃たれるのだとか。
そういう記憶違いが無数にあった。
ま、そんなことはどうでもいいか。
「レザボア・ドッグス」ももう1度見ないとなー。
クエンティン・タランティーノの次回作は
ロバート・ロドリゲスと競作するホラー映画「Grind House」とのこと。
これも早く見たいね。
あの当時は相当スリリングに感じられたパズル的ストーリーも
今の視点から見直すと非常にシンプルでストリート。
「ちょっとひねった」ぐらいのもんでしかない。
だけど、タランティーノは絶対そこで勝負してないね。
「そういうの、面白いんじゃない?」ってんで、やってみただけだろ。