発見の生活

このところ予定のない土日は
先日の結婚式と披露宴のビデオを朝から晩までがっつりと編集。
早く帰ってきた平日もちょこちょこと作業をしている。


結婚式は新婦が昔からお世話になっているということで
「持ち込み」の牧師の方が執り行ったんだけど、
今日の編集はちょうどこの方が説教壇でスピーチをしたところが中心で
改めてその内容をイチから聞き直した。


割と興味深い内容だったので、
音声から起こして手直ししたものを以下、載せときます。
ほんとはもっともっと長くて、抜粋の抜粋みたいなもんです。
タイトルは「発見の生活」ってことで
両親を発見する、信仰を発見する、お互いを発見する、
などなど続いた後で日々の暮らしについて語った部分ってことになります。

    • -

2人が、今日誓約して夫婦になりました。
明日から新しい発見が始まります。
既婚者の方ならば理解していただけると思うのですが、
まずお2人は互いに「外国人」を発見するでしょう。


その人はタオルの使い方からして違っています。
ショッピングは不可解で味覚は奇妙で、
整理整頓の感覚がなく、まるで外国人のようです。
確かに日本語で話しているんだけど大事なことは何も通じない。


結婚すれば自動的によき助け手が与えられる。これは美しい誤解ですね。
結婚すれば自動的によき理解者が与えられる。これははかない錯覚です。
現実は、自分と違った生活習慣を持ち、違った味覚を持ち、
違った言語感覚を持ってる人と共同生活が始まる、ということになります。
相手は20年以上も自分とは全く違った習慣や考え方の家庭、
異文化の中で育ってきているのです。
そうです。配偶者というのは異文化で育った外国人のようなものなのです。


自分の配偶者は外国人だということを忘れずに。
そうすれば楽しく相手を受け入れることができて、イライラから解放されます。
同じだと思っているとイライラしますからね。
大切なことは、さらに大切なことは、
自分は、相手の国に住んでいるということです。
相手を変えるのではなく、相手に好奇心を持つのです。
相手を改造しようとするのではなく、自分が相手の文化に適応しようとする。
そのとき、相手の文化の豊かさや素晴らしさがわかるのです。
結婚とは本当は楽しく豊かな異文化体験なのです。


次に発見するのは、外国人というだけではなく、
異性という不可思議な生き物を発見することになるでしょう。
男は女にとって、あるいは女は男にとって、お互いにまるで宇宙人のようです。


私の場合を例に挙げます。
妻から、こんなことを言われます。「買い物に連れてって」
「何買うの?」と私は聞きます。
そこで返ってくる答えが、「わかんない」
・・・そこでもうダメですね。
「わかんない!?なに?買い物に行くというのに買うものがわかんないの!?」
こうなってしまうわけです。
そして妻はですね、「醤油とパン」とかなんとか取って付けたようなことを言うんですね。
そうすると私は、「それは今買いに行かなきゃいけないのか?明日じゃダメなのか?」
とついつい言ってしまいます。
すると彼女も相当な苛立ちを感じるみたいで、表情にもそれがはっきりと出てきます。
そこで私は「待てよ、このままエスカレートして3時間不愉快になるよりは、
今、買い物に行って1時間耐えた方が得策だなあ」と、こう計算しましてね、
「はいよ、じゃ、すぐ行こう」こう声をかけるわけですよ。
すると妻は怒って「もういい!!」って言うんですよね。わかりませんねぇ。
この手の物言いはほんともう宇宙人なんじゃないかと。


男女のギャップ。
私は合計15年間外国に住んでましたので確信があります。
どんな異文化も、男と女ほどのギャップはないですね。
どんなに遠くの国の男でも、身近な女性よりわかりやすいと私は思います。
みなさん、そう思いませんか?
異性っていうものはほんとわからない。実に不可思議な生き物。
巨大な、そして深ーい相互理解のギャップがそこにはあるのでしょう。


その原因は、人にはそれぞれの無自覚の価値観があるからなんですね。
で、無自覚の価値観であるがゆえに面倒なんですね。
自分の持っている価値観は誰にとっても当たり前だという思い込みの中にいると
当たり前のことを当たり前だと思わない人がこの世にいるということが、
しかも自分のすぐ身近にいる人がそうだ、ということが想像できないわけです。
相当ショッキングな体験をしないと
それ以外の価値観の存在を自覚できないものです。
で、実は結婚生活というものは
このショッキングな体験をする場所なんでしょうね。


「なんでこんな当たり前なことがわかんないんだ!?」って呆れたときに、
向こうは本当にわかってない。
ですから結婚生活というものは
相手の価値観を理解する絶好の機会であると同時に、それ以上に、
自分が持っている無自覚の価値観を発見させてくれる貴重な体験なのです。
「ああ、当たり前だと思っていたけど、ここに当たり前だと思わない人がいる」
楽しいもんですよそれは、むしろ。
新しい発見をしていってくれればと思います。

    • -

とまあ、こんな感じ。
結婚ってほんとなんなんでしょうね?