会社の辞め方

昨日の朝、会社に着いてPCを立ち上げてメールの確認をしていたら
同じ部門の先輩からの退職の挨拶のメールがあった。
「一身上の都合で退職します。お世話になりました」ぐらいのことしか書いてない
非常にあっさりとした文面だった。
しかも送信時間が午前2時。
誰もいなくなった時間に来て、机の上を片付けてこのメールを出したのだろう。
言葉は悪いが夜逃げのような退職。
でも、こういう辞め方いいなあと僕は思った。


人によっては辞める日の朝か夕方、
部長の号令により部門全員が集められた中で前に立って、退職の挨拶として
これまでの思い出とか次の職場がどうこうとか感謝の気持ちとか語ったりする。
そしてそれをメールにも書く。連絡先なんかと一緒に。
席を一人一人回ってお菓子を配る人もいる。


はっきり言って僕はそういうのめんどくさい。たぶんやらない。
僕が辞めるときは儀式的なこと何もせず、「ある日突然いなくなりました」的な去り方をしたい。
ひっそりと消えていくような。なおかつ何の痕跡も残さず、きれいさっぱりと。
そんですぐにもみんなから忘れられたい。


死ぬ時だってそう。
大勢の人に見守られながら大往生なんてガラじゃない。
どっか人里離れた山奥で1人きり、そっと。
動物だってそうじゃないですか。
猫が縁の下に隠れるような。野生動物ならなおさら。

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昨日の夜、家に電話がかかってくる。
青森の母かマンションの勧誘だろうと思って取ってみると
IT業界専門の転職会社だった。


マンションの勧誘ならば「要りません」ガチャって感じですぐ切れるんだけど、
転職となるとなんつうか、すぐには切れない。
「間に合ってます」「今の会社で満足してます」ってわけでもないし。
この先この会社にいたところで何もないとわかってて、だけどダラダラと居続けて。


じゃあってんでその転職会社にすぐ身を任せるかっていうとそれもないんだけど。
業績を認められて引き抜かれるのなら別だけど、そういう業績があるわけでもないし。
「ご挨拶のメールを送ってもいいですか?」って聞かれて
とりあえず繋いどこうと思った僕はメールだけならとOKを出す。
こちらのアドレスでよろしいですか?と向こうが読み上げたドメイン
もう5年以上前に使わなくなった会社のメールサーバーだった。
その当時どこかで配った名刺が業者に拾い上げられたってことなのだろう。
あるいはどっかのサイトでアンケートに答えたか。
「ああ、僕もこういうのがかかってくるような年になったか」という感慨だけ。
「どこかでお会いしてお話したいんですが」と言われて、
「とりあえず今カットオーバー直前なので時間ありません」と返答する。


それにしても。どっかに名簿があって流通してて僕の名前がそこに載ってて
「30代前半、IT関連企業に勤務」みたいに書かれてんだろうな。
あんまり嬉しいものでもない。


今よりも仕事が楽になって年収が2倍になるのなら喜んで転職するんだけどね。
でもそんなおいしい話あるわけないし。