10/28 CMFLG(TeamDoyobi/Bichi/Brokenhaze/テニスコーツとセカイ) 2/2

続いて、テニスコーツとセカイ。
テニスコーツは元々、ヴォーカルとキーボードの「さや」とギターの植野隆司のユニット。
セカイはよく分からないんだけど、ラップトップ系の2人の青年がリズムを出していたので、
この二人のことなんだと思う。


僕はまだ聞いてないんだけど、この組み合わせでアルバムが出てるんですね。


知らない人のためにテニスコーツを一言で言うならば、
ジャパニーズ・ストレンジ・ポップ・デュオってとこか。
他に似た音楽を知らない。
歌を大事にする。それは歌を歌って暮らしてる人ならば当たり前のことなんだけど、
その次元というか佇まいが他と違う。
ストイックでとてつもない高みへと向かうってのではない。
ありえないぐらい愛情を注いで慈しむというのでもない。
ただ、歌がそこにある。ありのままで。そこが、いい。


初めてライブを聞いて、何よりもまず、空から光が降り注ぐようなギターに圧倒される。
決してうまいわけではないフィンガーピッキングから紡ぎ出される、何重にも重なったオーロラ。


さやの歌もうまいわけではない。むしろ、つたない。
音程の合う合わないとか、テクニカルな意味ではなくて。
生(キ)のままの、という意味で。


洋楽に例えて言うならば、Donna Regina とか、Juana Molina に近いのかな。
Juana Molina は今月末のライブのチケットが取れた。楽しみ)


テニスコーツについてはまたそのうちまた書きたいんだけど、
音楽として描く風景の「変わっていくもの」「変わらないもの」の軸が他と違うってことなんだろうな。
ここのところをまだうまく言葉に出来ない。

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次は、デンマークから来たという、Bichi
人のよさそうなお兄さん。


ラップトップ系。台の上におもちゃのように小さなモニターを2台。
背景のスクリーンに流れる映像がここにも映し出される。


歌も歌う。
ところどころノイズも挟まるんだけど、基本は優しい感じ。外見そのままの音。

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その次は、Broken Haze という日本人2人組。


なかなかハードでバキバキな音を出して「お、いいじゃん」と最初思ったんだけど、
それだけで45分やられて途中飽きてしまった・・・


もっと押したり引いたりあるといいなあ。
途中スローというか静かな展開もなくはなかったけど、
単なる息継ぎに過ぎなかったというか。


でも、若いっていいよね。
まだまだ進化していけそう。

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トリは、TeamDoyobi
名前からして日本人っぽいけど、どうもイギリス人らしい。
あまり詳しいことは分からず。
新作が出るんで、ツアーで来たってところなのかな。


この人たちもエレクトロニカ・ラップトップ系ってことになるんだけど、
他の出演者たちとは一味も二味も違ってた。格が上というか。


こういうことなのだと思う。
直前の Broken Haze との比較になってしまうんだけど、
・低音の大事さが分かっている
・隙間の使い方がうまい


エレクトロニカと言えども、曲であり、ヴォーカルが乗ってなくても歌であって。
だとしたら、人間には叩けないような速くて強迫神経症的なリズムに
奇矯な音が飛び道具的に乗っかってればそれで全てよいわけではなくて。
ラップトップ系のよさが、いろんな音が手の平の中に集まっていることだとしたら、
その視界がどこまで見えているか、
つまり、音やリズム、メロディーの素材はどれだけの広さから選びこまれたか、
ってのがその面白さを計る一番の基準となる。
だとしたら人間が聞いていて心地よい「曲の原型」「音の重なり方」みたいなものがあって、
やっぱそこには従うべき。直截的なノイズ一辺倒ではなく。
そこのところ、TeamDoyobi はよく分かってるなあと。
低音がちゃんと低音として意識して鳴らされているエレクトロニカって初めて聞いた、
って新鮮に思えるぐらいによく出来ていた。
(彼らからすれば無意識的なことだったのかもしれないけど)


あと、音が鳴っているところと同じぐらい、音が鳴っていないところを大事にしていた。
足すだけではなく、引き算の仕方。
思い切って、音が全く無くなってしまってもいい。それぐらいの大胆さ。


こういう音楽って、どうとでも作れるのだから作りこんで足していくのは(たぶん)簡単で、
「では、何を鳴らさなかったのか」というのを予感させるところまで表現できたら、
かなり上級者ってことになるのではないか。
そういうのが、聞く方にとっても「ああ、分かってるなあ」と思わせるポイントになる。
それって、「これの元ネタってあれだよね。こう使うか!?」という下世話なものかもしれないし、
「この人にはいろんなものが見えてんだなあ、だけどこの瞬間はこれだったんだなあ」
という感覚的なものかもしれない。


TeamDoyobiで残念なのは、機材トラブルっぽい箇所がいくつかあったこと。
「音がなくなる瞬間があってよかった」って書いたけど、
ただ単に何かが止まって動かなくなっただけの瞬間もあったような・・・
気のせいかな。
スクリーンに流れる映像も、VJがいるのではなくて、
どうもDVDを流しているだけだということが分かったり。
(DVDプレーヤーが「エラーです」みたな映像が出て止まってしまった・・・)
あれはちょっとショックだった。


夜遅くまでやってて、丸の内線の終電ギリギリまで Super Dexluxe で TeamDoyobiを聞いていた。


デラ君のイベント「CMFLG」は年内いっぱいで、しばらく休養に入るようで。
これまで頑張ってきて偉いよなあと思う。