大阪探訪 その3(澤野工房)

次に向かうは同じく、通天閣のパンフレットで見かけた
澤野工房 履物屋さんがなぜ? 知る人ぞ知るハンドメイドJAZZの店」
え!?と驚く。「澤野工房」ってこんなところにあるの?
これはぜひとも行かなくては。
澤野さんって方が個人で行っているレーベル。
ヨーロッパのピアノ・トリオの秀作を
日本で紹介するために自家製でアルバムを作って、通信販売で売っている。
昔は知る人ぞ知るだったけど、今ではHMVでもコーナーがあったりする。
静かな美を称えた音楽は、「澤野工房」系としか呼びようが無い。
(僕のCD棚の中でも、他のJAZZのCDと一緒にせず、澤野系で一括りにしている)
http://www.jazz-sawano.com/


行ってみたらゴク普通の履物屋で驚いた。ものすごく小さな店。
「ほんとにこれ?」といぶかしい気持ちで眺める僕。
よく見たら店の奥にCDを収めたケースが並んでいる。入ってみた。
澤野さん本人が店番をしていた!しかも履物屋の方で!!
とても気さくで腰の低い方で、東京から来たと言うととても喜んでくれた。
「一番お勧めのCDってどれですか?記念に買って帰ります」と言うと、
「どれも一番お勧めだからねえ」と
今年最も売れた作品、去年、一昨年と並べて、それぞれ視聴させてくれた。
ジャケットが気になったのがあって「これ聞かせてください」と頼むと
嬉しそうにプレーヤーにCDをセットする。
この演奏はこうでああでと詳しく解説もしてくれる。
結局、昨年最も売れたという「Robert lakatos Trio / Never Let Me Go」と
タイトルが気になって視聴させてもらった
「Vladimir Shafranov Trio / New York Revisited」の2枚を買った。
価格は2500円なんだけど、そのうちの送料500円を引いて1枚2000円にしてくれた。
しかも、サンプラーのCDもおまけでもらった。
いい人だなあ。
澤野工房のアルバムをもっと集めたくなった!


CDを入れ替えたり解説してもらってる間に、
同じく店番中だった澤野さんの奥さんが「あの草履どこだっけ?」と聞いてきたり。
奥さんは全くJAZZに興味なさそう。
僕らがCDを買うと、奥さんが「ちょっと、ちょうどいい袋が確かあったわよ」と
澤野さんに「階段の、そう、そこ」と指示をする。
微笑ましかったなあ。
澤野工房そのままのゆったりした時間が流れてた。


澤野工房よ、永遠なれ。
素晴らしいJAZZをもっと、僕らに。


店を出て、なんば方面へと歩いていく。
途中、日本橋を通り抜ける。東京はニホンバシだけど、こっちはニッポンバシ
秋葉原のような電気街。
でも純然たる電気街であって、秋葉原のようなメイドな人たちは見かけなかった。
格安量販店と、アダルトビデオの店ばっかり。
中古CD屋もけっこうあったので、そのうちのいくつかに入った。


どこかのビルの屋上で、鉄骨で作られた骨組みだけの、巨大なハチの模型が飾られていた。
そういえば梅田には思いっきり斜めになったプロミスの看板を見かけた。


なんばを歩く。
こっちだっけ?あっちだっけ?と迷いながらアメリカ村を目指す。


カレー屋を見かけたとき、インド帰りの同級生は懐かしくなって2軒、
最近流行の有名なところに行ったのだそうな。
しかしどれも全然だめ。そもそも2軒ともカレーにネギが乗っかっていたという。
「本場インドカレーって言っててなんでネギが乗るわけ!?」
ネギ焼きで知られる大阪のカレーにはネギが普通だったりするのか・・・


この頃から、夕暮れ。暗くなってアメリカ村に到着。
古着屋のいくつかに入る。
ちょっとばかしガラの悪そうな若者たちばかり。でも店員は皆気さくそう。
三角公園ってとこでたこ焼きを買って食べる。
甲賀流」という名前だったかな。ネギソースたこ焼き。
目の前には巨大なモニターがあって、大阪で今はやっているヒップホップの曲が何度も流れた。
鶴橋の焼肉屋とか、大阪ならではの場所を背景に撮られたクリップ。
曲名は「インパクト」を漢字の当て字4文字にしたものだったと思う。


古着屋ばかりのこの辺りは下北沢っぽい。
和物テイストの店を見つけ、スカジャンを買う。3万弱。結構な値段の買い物。
でも前々からいつか買うつもりだったので衝動買いではない、と自分に言い聞かせる。
遊女を描いたものとゼロ戦を描いたものとで迷って、末永く着られる方ってことでゼロ戦にした。


日が暮れてきたので古着屋巡りは早々に切り上げる。
また今度来る機会があったら、半日かけてじっくり回ってみたい。
「KingKong」というレコード屋がとても居心地よさそうだった。


道頓堀まで歩いて、同級生が前から気になっていた「南翔饅頭店」という店に入る。
六本木ヒルズにも店があるみたい。
http://www.nansyou.co.jp/
小籠包がウリの店で、熱々のを食べたら口の中で汁がはじけとんでやけどした。
おいしかった。季節の野菜の蒸篭蒸しってメニューがあって、これがなかなかよかった。


その後用事ありの同級生と別れて、19時にはホテルにチェックイン。
大浴場があったので入りに行く。
買ったばかりの澤野工房のCDを聞きたくもCDプレーヤーはなし。
持ってきたノートPCもCD-ROMがついていない。残念。
もらってきたカタログを眺めて音を想像しながら、ビールを飲む。
大阪のビジネスホテルで過ごす夜。
テレビを見て、眠る。