戦い済んで日は暮れて

新規事業のワークショップ。
10日(水)に事業部長、部長たちへのプレゼンがあって、17日(水)に審査会。
あえなく撃沈。イチからやり直すことになった。
広告ビジネスです、っていうときにどう収益を上げるか?
といった理論とその検証が甘かった。
など、など。


とにかく、それがどういうビジネスモデルなのか、そのブラッシュアップに尽きる。
「やるから、できるんです」といったことは通用しない。
数字としてそれはどうなのか。どういう裏付けがあるからそれが言えるのか。
世の中は厳しい。
というか、社内、事業部の中ですらあれこれ手厳しく言われた今回、
いきなり独立してやろうとしていたらとんでもないことになってたんだろうな。
中途半端なものだったら、夢は見ちゃいけないわけです。


それにしても、疲れた。6月から半年。
今年後半はこれが日々の軸になっていた。
あっけなく終わって今、燃え尽き感でいっぱい。
当面、何もしたくない。とにかく休みたい。


何よりも感じたのが僕の力不足。無知。
これまでノホホンとシステムエンジニアをやってきて、何も勉強してこなかったんだなあと。
身についたのはバクッとした外観と小手先のマメ知識だけ。
いざビジネスモデルについて考えようとなっても、数字のことになるとお手上げ。
僕が出せるのは企画のアイデアだけ。
絶望的なまでの無力感。
これから先、僕はどうやって生きていこう?なんて思い悩んだこともあった。


じゃあ今から頑張れば身につくものなのか?
頑張れば、身につくとは思う。
でも、今回の活動を通じて痛感したのは、やっぱ僕はそういうの全く興味ないのだということ。
どうやって売るのか、どうやって儲けるのか。
一言で言って、向いてない。
得意なとこだけやるんでいいよ、とはいかないもんだろうし。


来年度に第2期があるみたいなんだけど、たぶん僕は参加しないと思う。
土日をつぶすなら、小説を書きたい。結局今年は100枚のを1つ書いただけ。
ワークショップの始まった夏以後、何もできなかった。


ワークショップそのものは否定しない。
とてもいい経験ができた。いろんなことを学んだ。
そもそも、社会人として視界が広がった。
夏前までの自分の事を思うと、ゾッとした気分になる。


でも、ワークショップの座長の方からは「研修じゃない」とばっさり切られた。
「具体的に新規事業が立ち上がらないことには駄目なんだよ」
そこなんだよな。
僕は結局心のどこかに研修としてやっているという受身の部分があって、
後半戦、チームに加わって検討しているときも「演習」と割り切っている自分がどこかにいた。
たとえ立ち上がらなかったとしても、いろいろ学べたからいいじゃないかと最初から達観していた。


本気で事業を立ち上げたかったのか?
そうとも言えるし、そうじゃなかったとも言える。
全12回のセッションのうち、10回目の頃だろうか?
最終発表の事業部長・部長向けのプレゼンに当たっては
「なぜその事業をこの会社がやらなければならないのか?」という観点を
きちんとアピールするように、というお達しを受けた。
ここで僕は足を掬われた。
僕はただ単に、「ここから出て行きたい」という一心で新規事業にのめりこんでいた。
新規事業が立ち上がったとしても、「ここからは抜け出せない」ということに気付かされた。
一瞬にしてやる気がしぼんで、なくなった。
そうか、僕は何を勘違いしていたんだろうと自分が悲しくなった。
危機感はあくまで自分に対するものであって、会社に対するものじゃなかった。
新規事業検討の場を提供した会社がメンバーに求めたものは、あくまで会社に対する貢献なのだ。


そこから、僕だけじゃなくて、チーム全体がトーンダウンしたように思う。
そしてプレゼンはグダグダになった。
後に残されたのは、徒労感だけ。


とりあえず今、砂上の楼閣が風に吹かれて崩れ去っていくのを途方にくれて眺めている。


僕にとってこの活動は、日々の忙しい仕事の中での、現実逃避に過ぎなかったのだ。

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以下、おまけ。夏のまだ熱い気持ちがあった頃に、
クローズドな関係者用ブログに書いたこと。


今となってはこういう気持ちもない。


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今回のタスクフォースとは直接の関係はないですが。


僕が今いるPJは割と大きくて、忙しくて、雑用をプロパーがやってる暇なんてないだろう、
ってことで派遣の人を雇うことにしたんですね。
で、派遣の女性の方が来ました。パッと見普通の女の子。


何をしているかと言えば今は、
外部設計フェーズの大詰めってことで外部設計書の顧客レビューが毎日休みなく続いていて、
持って行く設計書の印刷と人数分のコピーと、
僕なんかがその場にノートPCを持ち込んでガチャガチャ打ち込んだメモを、
会社標準フォーマットのレビュー記録のEXCELに転記とかそういうのなんですね。
誰でもできる、単純な仕事。


その子とこの前話す機会があって、聞いてみたら、あれこれ苦労してて、
前の仕事では飛び込み営業とか経験してて(もちろんうまくいくわけがない)、
でも、「世の中をもっとよくしたい」「こういうのがあったら世の中がよくなると思う」って
独学で企画書の書き方を勉強して自分なりに書いてみたりしてたんですね。
どこかに出したわけでもないですが。
それでも、自分がモヤモヤっと思ってることを形にしたくて、彼女は今も日夜頑張っている。


偉いなあと思った。心の底から。

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「受注開発」というぬるま湯。
確かにそれは目の前の仕事になり、金になるだろう。
コバンザメのようにお客さんの脇腹にくっついていたら何かしらおこぼれはある。
だけどそれじゃいけないんだということ。
僕は10年目にして、ようやくそれがぬるま湯だということに気付いた。
部門の若手はさ、「オレずっと保守だけど、オマエ新規でいいなあ」とか言ってる。
新規ってもちろん、既存のお客さんの中での新規ってことですよ。
君らがそれでいいなら、それでいい。
部門がそれでいいなら、それでいい。僕がとやかく言うことじゃない。
でも、「それおかしいよ」と僕は思う。
派遣の女の子の方がよほどまともな感覚を持っている。僕は、そう思う。

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正直僕は、ここから出て行きたい。
こんなグダグダした場所には何の未来もない。


とはいえ少なくとも、何かが少しは変わるべきだ。
変えられないのだろうか?だから、このタスクフォースに参加している。

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僕なんかよりは彼女の方がよっぽど、このタスクフォースに参加すべきだ。
いろんなことを学ぶべきだ。


だけど世の中、そんなふうにはできていない。残念ながら。
やる気があるからと言って、派遣の子には金を出さないでしょ?
出すわけにはいかないでしょ?うちの会社は。


その反面、僕がいかに今恵まれた状態にいるのか、ということ。噛み締めた。
だから僕は頑張らないといけないのだな、中途半端な気持ちではいけないのだな、と思った。