「京の物語空間」の実験に参加 その2

okmrtyhk2009-03-18


8時に起きる。風呂に入ってのんびりと過ごす。
外を見ると雨が降っている。雨の中午後ずっと歩くのは嫌だなー、と思う。
朝食は食べない。チェックアウトして、集合場所である誉田屋へ。
歩いてすぐ近く。持ってきた折り畳みだと小さかろうと、ホテルで大き目の傘を買う。
ボストンバッグは預けていく。


途中、RAAKという店が目に留まる。
創作手ぬぐいの店みたいなんだけど、色鮮やかで個性的。
http://www.raak.jp/top.html
真っ黒な木造の民家がハイセンスでハイカラなセレクトショップのように生まれ変わっている。
僕が見かけたのは烏丸御池の本店で、この日午後歩いているうちに他に2店見つけた。


誉田屋へ。帯問屋、らしい。
270年の歴史を誇り、呉服=誉田屋といっても過言ではなく、落語にも登場する。
入り口をくぐって中に入ると、人力車が飾られている。
この辺りのボキャブラリーに極端に乏しいのでうまく言えないんだけど、
京都と言って思い描く日本家屋そのままの空間。
隣の部屋には神輿が置かれて、周囲には竹をモチーフにした生け花というかなんというか。
ほんともどかしい。
中庭も添水に石灯篭と・・・、ごめん。まとまった言葉にできない。
京都や日本文化に疎い僕は全く持って知らなくて帰ってきてから調べたんだけど、
ここの当主十代目山口源兵衛ってなかなかユニークの人のようだ。
http://www.kirin.co.jp/about/area/kirinkansai/mono/mono_0612.html
http://www.planup.co.jp/backnumber/KondayaGenbei/index.html


9時半受付開始で、10時に開始。奥の座敷に20人の参加者が三々五々集まりだす。
ここ誉田屋では「誉田屋寺子屋塾」ってのをやってるようで、この日はその特別篇。
編集工学研究所の主任研究員高橋秀元氏が講師となって前半、12時まで京都の歴史に関する講義。
始まりに当たって、プロジェクターから映し出される映像には「京都の物語散策」とあった。


 1. 物語は「シンタックス」(構文)を「セマンティックス」(意味)に変換する (=編集)
 2. 物語は世界構造、シーン、ストーリー、キャラクター、ナレーターからなる
 3. 物語は「不明の謎」をめぐって展開する
 4. 物語は「語り手」と「聞き手」のコラボレーションによって成立する (話す=相手に移る)


「物語編集力」の中核をなしていた4か条を切り口に、
物語とは何か、京都の物語(=歴史)とは何か、を語る。
縦横無尽に話があちこちに飛ぶのでついていくのがやっと。
取っていたメモも後で読み返すととりとめがなくて何が何やらわけがわからず。
印象に残った話を2つ。


・日本最初の子午線は京都にあった。京都→東京→明石(東経135度)という変遷を辿る。
 水戸藩長久保赤水が日本で始めて、緯度経度入りの日本全図を作成した。
 (この人は生類哀れみの令が出ていた当時にラーメンのようなものを食べたり、
  ヨーグルトを作っていたりという変わり者らしい)
 緯度の基点を京都御所としているが、これはどちらかと言うと
 天文総本家である土御門家(祖先は安倍晴明)に対する配慮によるものであり、
 子午線は土御門家の屋敷を通るようになっていた。


小野妹子の子孫にして、小野小町の祖父に当たる小野篁
 遣唐使に任命されるも2度遭難。3度目は拒否。
 当時の天皇を皮肉った歌を読んで佐渡島流しとなるが、その歌が現在に至るまで見つかっていない。
 毎晩、屋敷の井戸から地獄に降りていって、閻魔大王の相談役となったという伝説がある。


こういった話の後、編集工学研究所の方から「図書街」の説明へ。
松岡正剛がデザインした本棚で作られた街。
実現したら東京ドーム4個分の広さになるとのこと。
「数学の自由」「拡大するヨーロッパ」といったセクションに区切られ、
例えば、本棚がUSAの形に並べられて隣に摩天楼が建っているとか、北のはずれにはモノリスが、とか。
そんな感じ。今、2万冊の本がバーチャルな空間に?収められているのだとか。
今回の実験ではそのミニチュア版なのか、京都の図書街を散策することになる。
といっても、SecondLifeのように3D空間の中を
自己に模したキャラクターを動かして歩き回るのではなく、
京都の中を歩きながら時々、携帯で情報を検索してその中に図書情報が含まれているというもの。
たぶん最初の構想からすればかなり小さいスケールの実現なんだろうな・・・


午後から実験が始まる。先立って、あれこれと説明。
配布された携帯端末の使い方であるとか。
参加者は2人1組になって、事前アンケートに基づくレベル分けによって
目的とする行動テーマを与えられる。
5種類のキーワード検索のうち全て使ってみるか、あるいは1種類だけとするか。
他には俳句作成機能を使うかどうかとか、画像投稿機能を使うかとか。
僕は一番下のレベル。
事前のアンケートにて携帯でメールやインターネットを利用するかといった質問に
ことごとく「ほとんど利用しない」と答えたからだと思う。
IT業界にいるんで一応何とでも使いこなせるけど、個人的によく利用するかと言うと話は別。
おかげで課題が少なく、楽に過ごせることになった。


携帯のナビゲーターの使い方はこんな感じ。
例えば、「北野天満宮」と検索するとトピックや関連する書籍情報、地図へのリンクが表示されるので
それらを辿っていく。あとは興味に基づいて本文中のリンクをどんどんザッピングしていけばいい。
次に行くべき目的地もサジェストしてくれる。
今表示しているスポットからの方角と概算の距離が表示される。
とはいえ、地図は出てくるけどGPSと連動しているわけではないし、
データの蓄積はまだまだ貯めてる途中のよう。
それに何よりもムムムなのは開発用サーバでの運用ってことで非力。レスポンスが遅い。
まあ仕方がないか。試験段階のデモなのだから。
このあたりの事情、よく分かる。予想がつく。