Beck 来日公演

先週の水曜、会社の友人たちと Beck の来日公演を見に行く。
場所は渋谷の NHK ホール。
仕事は定時で切り上げて、こっそり抜け出して。


観客には僕らの世代の人が多かったように思う。30代半ば。
オルタナティブグランジ世代。


ステージの上には、マネキンが30体ぐらい並んでいる。
これはいったい何なのか?実はメンバーが紛れ込んでいるのか?
マネキンとか銅像のフリをして微動だにしないという芸をするひとが
世界のあちこちにいるもんだけど、そういう人をかき集めてきたのだろうか?
見えないワイヤーに結び付けられて動いたり、宙に浮いたりするのか?
はたまた、破裂するのか?


19時になって15分ぐらい経過した後だろうか。
メンバーがステージの上に集まりだして演奏開始。
女性のギター、男性のベース、ドラム、ラップトップ+キーボード、時としてマラカス。
プラスして Beck の5人。
昔、ステージ上の Beck を撮影した写真にて
どこの政治家だよ?みたいなスーツを着ていたので
そういうイメージがあったんだけど、
今回はカーキ色のパンツ、Tシャツ、その上にネルシャツ?という非常にラフな格好。
そういうモードだったのか、演奏もまたアメリカのその辺のギターバンドっぽい音に。
80年代のニューヨークの架空のバンドを再現しましたって感じの。
ニューウェーブで、多少ヒップホップが入ってて、っていう。
「The New Polution」とかやってた。
前半はとにかくモノトーンなギターロックで、5人目の彼も効果音を多少入れるだけ。
それが中盤から後半にかけては演奏がラップトップからのループがベースになって、
ここからようやく、Beckっぽいファンキーでカラフルな音になっていく。


客席はとにかく盛り上がらず。冷めていた。
僕らは2階席にいたんだけど、立ってる人はまばらだったな。
そういう空気を一身に浴びて、ステージでの演奏も硬直して淡々と繰り出されていった。
ようやく持ち直したのは後半、
バックの4人がリズムボックスを持って前に出てきて、Beckがラップをするってところから。
ここでようやく空気が変わった。


ブルージーなギターソロを弾いた後で、なんと、「Loser」に突入。
「やっぱ Loser だよ。Loser やんないかなあ」とずっとぼやいていていた僕は大感激。
Rdiohead が「Creep」やらないなら、Beck だって「Loser」やんないだろうと思っていた。


アンコールの1曲目は「Where It's At」で、最後が「E-Pro」
僕は Beck のあまりいいリスナーではなく、全然曲を覚えていない。
聞いたことあっても曲名が分からないし、
アルバム全部持ってるって言うのに、大半が聞き覚えのない曲だった。


特筆すべきはバックの映像。
黒の幕に埋め込まれた無数の豆電球?
これが細かく ON/ OFF して映像を形作るんだけど、
最初は白黒のざっくりした模様だけ、これが多少動くようになって、カラーになって、
・・・とどんどん進化していく。
とはいえ元が小さな電球なので精緻な画像は望めず、あくまで大雑把な図柄。
これがいいんですね。アートだなあ、と感心した。さすが、Beck だ。
最後の方ではリアルタイムにビデオカメラで撮影する映像も映し出されて。
ステージ上の Beck に、観客たち(抱きかかえられた赤ちゃんがお気に入りの被写体となった)。
これを制御する仕組みって絶対大変だよな、と思う。


マネキンは最後まで、マネキンのまま。1体とも動き出さず。
Beck が途中で、上に着てたのを掛けただけ。


一緒に見た何人かは前回の来日公演も見に行っていて、そのときはもっとステージに人がいて、
カメラ担当とか気ぐるみ担当もいたと言う。
そっち見た方が楽しかっただろうな。
Beck のお兄さんとかいう人もロボットダンスを披露したのだとか。