感門之盟 その2

会場となるホールへ。2階に上がる。
ロビーで受付を済ませて、名札を首からぶら下げる。
ストラップの色がコースごとに分かれていて、
破が青、離が黄色、花伝所が緑、ゲストが赤?スタッフが黒。
青の名札を掛けている人を見かけたら、それとなく名前を見てみる。
100人も学衆(生徒)がいれば、16週間の稽古の間に目立っていた人っているもんで。
どういう人なのか見てみたくなる。
ふーん。こういう人だったのか・・・、と唸らされることになる。
発言する内容とその人の顔かたちが一致したり、一致しなかったり。


久しぶりに会った人と、あちこちでやあやあどうもと。
僕も守(基本コース)の教室で一緒だった方たちと挨拶する。


僕のブログをたまたま知って読んでくれている方がいて、
同じ教室の方を通じて紹介される。ああ、どうもはじめましてと。
ぎこちなく、お互い、何を話していいものやらって感じになる。
アフターの飲み会で話すのがいいかなとその場では、じゃあまた、となる。
でもその方はアフターには参加されなかったようで、その後会えずじまい。
なんだかもったいないことをした。


ホールはリハーサル中ということで入れず。
ロビーでは恒例の落冊市。松岡校長の蔵書で簡易オークション。
欲しい人は付箋に名前を書いて、100円単位で入札金額を書いて貼っていく。
僕はデレク・ジャーマンの「ラスト・オブ・イングランド」と
サザビーズの浮世絵のカタログ。もちろん洋書。
最初はだいたい100円ぐらいから始まるもんだけど、
他の人を寄せ付けないように僕はどちらともいきなり1000円でスタート。
その後休憩時間の合間合間に値が釣り上がっていく。
僕はずっとこの2冊を見張ってて、誰かが書くとすかさずそれよりも高い値段をつける。
「ラスト・オブ・イングランド」はもういいやと思って途中で放棄、
でもサザビーズのは絶対欲しかったので頑張り続ける。
結果、2000円で首尾よく落札。ほっとする。
師範代が入札したダンテの研究書だったか、最後は1万にまでなったという。
師範代が興味深いことを言う。
前回の感門之盟の落冊市と違って今回は離がメインだから、
今回選ばれた本もそれなりに高度な本となっていると。
そう言われてみると前回のときは守が幅を利かせていたせいか、
入門書的なものが多かったように思う。


30分ぐらい押して、ホールへ。
感門之盟、始まる。題して「真夏のダブルページ」
ダブルページってのはつまり、本の見開き2ページのこと。
必ず対となり、そこには無限の可能性を宿すことが可能。
書物の復権を謳う編集学校としては
このダブルページというメタファーに織り込みたいものがたくさんあるのだろう。
感門之盟の間に何度も何度もキーワードとして出てきた。


今回の司会は、守の師範だった(キレイで有名な)方。
晴れの舞台ではいつも着物を着ている方なんだけど、
アフ感(その後の飲み会)では着物を脱いでいて
替わりに斬新なデザインのハイカラな服を着ていて、一際目立っていた。


まずは破(応用コース)の突破式。
師範から師範代へと1人ずつ感門証が授与され、
校長から「先達文庫」として今後のヒントとなる本が2冊送られる。
師範には書が送られる。これが12教室分。
うちの教室だと、先達文庫が「江戸川乱歩の推理問題」「江戸川乱歩の推理教室」
書は「夏草に つはものどもを 追ひ秘めて」だったかな。
後にアフ感で先達文庫を見せてもらう。
こちらは表紙にサインをしただけではなくて、裏表紙にだったか、
1人1人に向けたメッセージが書かれている。
これはちょっとうらやましい。
先達文庫を受け取った師範代はスピーチをすることになっている。
とある師範代が語っていたことが心に残った。
守は「広げる」ことを追い求めて指南をして、破でも最初は広げることを心がけていた。
でもどこか違うということに気付いて、そこから先はあえて「狭める」ことを意識したという。


ステージには師範と師範代、校長だけが立つことになっていて、学衆(生徒)はあくまで観客。
ステージの上に立つことはない。
だけど最初の教室のときに学衆の女の子がふらっと上がっていって、
「あれは誰だ?」「何が起きたのか?」と騒然とする。
学衆もまた上がるものと勘違いしたのだろう…


突破式が終わって、GNNニュースが挟まる。「Gakurin Nawashiro Network」の略だったか。
何回か登場した。もちろん、CNNのもじり。
「苗代」は松岡校長がかつて語っていたキーワード。
これからの日本をちゃんとさせるために我々は苗代を育てなくてはならないのだ。
このGNNニュースで今後の編集学校のトピックが語られる。
守破離の前、超入門コースとして「序」が開設されること。
来月から編集学校関係者を中心に試験運用されるWEBサイト「本座」の発表。
千夜千冊を含むコンテンツポータルとSNS・ブログの融合。書評を書いたり、日記を書いたり。
自分だけの本棚も作れるという。背表紙が並ぶのだそうな。
(背表紙の表示は、どっかの本屋系SNSで以前見たことがある)
聞いてると「本座」は面白そうで、僕ははまるんじゃないかな・・・。
その他には、物語コースの第2期の紹介や「松丸本舗」の詳細などなど。


みずほ銀行の新入社員のための研修コースである「業」の開始ってのが僕には興味深くて。
編集学校という閉じられた、悪く言えばムラ社会から現実の世界へと足を踏み入れて、
この社会を変えていこうという試みのように思える。


休憩時間を挟んで、第10期花伝書の「放伝式」(卒業式)。


その次の休憩時間で、ランチボックスをもらって食べる。
毎回、特製。市販のものではない。
コースに引っ掛けて「破離花弁当」という名前だった。
中身は小ぶりのおにぎりなど。なかなかおいしい。普通に売ってもよさそうな。
守の教室で一緒だった方と立ち話しながら食べる。