行方知れズ

100歳以上の高齢者が実は死んでいたとか所在不明だとか。
足立区111歳の例の事件をきっかけに、全国で続々と判明して日々増え続けている。
今日の時点で50人以上だったか。
意図的に死亡を隠して遺族が年金・見舞金などを不法に掠める詐欺行為もあれば、
身寄りもないままひっそりと亡くなって誰にも知られることがなく
それっきりになったというケースもあるだろう。
管理やケアが行き届かなかった自治体もあるだろう。
戸籍という紙切れだけは何十年とそこに仕舞い込まれているが、
リアルな人物の動向は一切把握されていない。実態がない。
なんだか現代的だな、と思った。


100歳以上の高齢者でこれだけいるのだから、
もっと下の世代ならば何千人、何万人規模となるのではないか。
行方不明となった人たち、ある日忽然と消えた人たち。
あちこち調べてみたら
国内での1年間における行方不明者数は毎年約10万人にも上るという。
しかもこれは届出があった数。
孤独な若者やお年寄りが人知れず、となると実態は分からない。
どこに行ったのか。生きているのか。
なんだか、ぞっとする。


僕の人生においても、もう何年何十年と音信普通のうちに
どこでどうしているのかさっぱり分からなくなった人、記憶の薄れた人は山ほどいる。
本人はそのつもりがなくても多くの人から忘れられ、
積極的に周りと接触を取ることもなく、過去に興味はなく、
そのときそのときをひっそりと生きている失踪予備軍の人が
世の中には無数に存在しそうだ。


その気になったら、僕にもそれは可能なのだなと思う。

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青森の母と電話で話をする。
この週末にリンゴジュースを送るという。
青森は昨日今日と東京のような暑さで34℃の猛暑日だという。


暑い夏が続く。
この国を覆い尽くす。
その中をひっそりと生きている人たちがいる。