新入社員の頃

今日の朝、丸の内線に乗っていたら紺の新入社員スーツを着た
そっくり同じ格好の女の子2人がそれぞれに日経新聞を読みながら
アメリカはなんでこういう政策をとったのか、たどたどしく解説しあっていた。
あの独特の硬い雰囲気。新入社員って一目見て分かる。
昨日は駅トイレの個室で空くのを待っていたら、
男の子が神経質そうに髪をとかしたり眼鏡の位置を直したりしていた。
何度も何度も鏡の向こうの自分の姿を確認する。
トイレから出てきても彼は不安げにあちこち触っていた。
緊張してるんだろうなあ。
かつ、会社の中にくつろげる自分の居場所がまだない。


入社式のあと、自分が新入社員だったときのことを思い出す。
環境の大きな変化というか
社会人になるということへの嫌悪感を体全体にまとっていたように思う。
あらゆる物事から遠ざかり、突っぱねたくなる気持ち。
身構えて、疑心暗鬼になって。
その裏返しで、全てに対して無関心を装う。
どんどんはぐれていく。
仲良くなって毎晩のように飲みに行く同期たちを尻目に早々と1人帰って
悶々とした日々を過ごしていた…
自分の人生にとって暗黒時代のひとつ。
スーツの着方も歩き方も、何もかもがどこかぎこちない。
様々な出来事のフラッシュバックになんだか今、とても憂鬱な気持ちになってきた。


何をどうしていいか分からず、とりあえず出社して研修を受けるだけの毎日。
家と会社とを往復して、目の前の出来事が全て右から左に流れていく。
4月の後半には早々と事業部に配属されてOJTが始まり、
先輩たちとの上下関係が生まれる。具体的にやることが出てくる。
それでようやく楽になった。
名前を付けられ、人として認められたような。
これが今の新人たちのように3ヶ月4ヶ月とロングで研修だったら
ノイローゼになってたんじゃないかと思う。やばかった。


そんなわけで僕は初々しさの全くない新入社員だった。
やさぐれ。そしてそれが今も続く…