笑い袋

人間の感情の総量はあらかじめ決まっているのかもしれない。
一方的に与えられていて、自分から増やすことはできない。


もちろんその総量は人によって異なる。
極端に多い人もいれば、極端に少ない人もいる。


悲しみに打ちひしがれて大きく減って、
心の底から笑い合ってまた大きく減る。


使い果たしたとき、その人は死ぬ。
それは肉体的な死ではなくて、抜け殻になるということである。


そのことを直観的に知っているがゆえに、
感情を外に表さないという人がいる。


少しでも笑うと自分が擦り減ってしまうというような。
悲しみに触れることもまた、忌み嫌う。


恐らく、その人の感情の詰められた袋には小さな穴が空いていて、
何もしなくても少しずつ減っていく。


だとしたら少なくともその分は笑った方がいいし、怒った方がいい。
人生を楽しんだ方がいい。


身の回りにそのときなかったのならば、
音楽や映画や読書にそれを求めたっていいだろう。


でもどうせなら知ってる人と共有した方がいい。
その次は見知らぬ人と。


こんなふうに言葉にするととても簡単なことのように思えるのに
実際にはなかなか難しい。


今の僕にはできない。これまでの僕もできなかった。
あなたはどうですか?