富山旅行その3(9/21)


気を取り直して海沿いを展望台目指して歩いて行く。
潮風に当てられた街工場が並ぶ。あとは港湾関係の施設。
柵で囲われて、海辺に出ることができない。
日本海を前にしてその前に立つことができない。
常夜燈をモデルにしたという展望台に上っても、そう。
螺旋階段を上って4階か5階の高さだっただろうか。
最上階の眺めはなかなかいい。
しかし、窓はどれもガラスに覆われている。どこか寸止め。
見下ろすと岸壁に無数の乗用車とスクラップ。積み込みを待っている。
この界隈はロシア語の掲示(禁止事項)が多かった。


一本内側の「大町新川町通り」へ。
明治初期に建てられたという廻船問屋の建物が並ぶ、静かな趣ある通り。
どの建物も手入れが行き届いていて古びてなく、
歩いているとタイムスリップしたかのよう。
北前船廻船問屋森家」に入る。
当時の様子が保存されていて、重要文化財にも指定されている。
秋篠宮殿下も訪れたとのこと。
入場料は100円。ちょうどガイドツアーが始まったばかりで、一緒になって聞く。
入ってすぐの部屋に船の模型。天井の高い部屋には明かりを取る窓が。
奥に進む。中庭に面したL字型の廊下の障子は柱がないというのに
今もピッタリと垂直にはまるという。
130年前の、当代一流の大工たちの技。ガラスもまたギヤマン
欄間や壁には当時の浜の様子を写した写真や帆をかけた北前船の絵。
水墨画、掛け軸、当時の地図。
その中に棟方志功の作品が何点か掛けられていた。
天井は木目を生かした自然な模様となっていて、龍が見える。
廻船問屋はこの森家だけではなく、通りに他にもいくつかあった。20軒だったか。
助けあいの精神が強く、船の金庫が流されて浜に漂着しても
持ち逃げせず、持ち主の家のところに返したとのこと。
土間の廊下には竈があって、二階に女中部屋があってという一通りを見る。


東岩瀬の駅まで歩いて、またライトレールに乗って富山駅北口まで戻る。
「富岩運河灌水公園」へ。レンガ造りをモチーフにしていて
なみなみと水をたたえた運河が真ん中を流れている。
今度はこちら側から富岩水上ラインに乗ろうと思って乗り場を目指す。
岩瀬浜までの最長コースが土日祝だけ運行だとしても
ここを出発点とする周遊コースは平日もやってるんじゃないか。
しかし、行ってみるとやはりチケット売り場はクローズ。
全般的に平日は運行対象外か。つくづく残念。
とはいえこの公園そのものが美しく、居心地がよく、展望塔に上ると
運河に反転して映った建物の澄んだ眺めが素晴らしい。一見の価値あり。
富山は水の都なんだな。
このような独自の公園がつくれるところに文化的な力を感じた。


15時。駅の南口に戻って、アパヴィラホテルにチェックイン。
大浴場に入って歩いた汗を流すつもりが、なかった。
大浴場があるのは駅北口のアパホテルの方だった。間違えた。
荷物を置いてシャワーを浴びて一息ついて、また出かける。


今度は駅の南側。市役所・県庁のある大通りを歩く。
富山城址。お濠に遊覧船がある。こちらは平日も就航しているようだが、
ちょうど出たばかりだったようで諦める。
そのまま歩いて行く。今から7年前になるのか、
先輩の結婚式で呼ばれたときに泊まった ANA のホテルが懐かしかった。
雪の降る中、この辺り、歩いたんだよなー。
富山市一番の目抜き通りになるのだろうか、総曲輪。
デパートがあって、アーケード街があって。路面電車も往来する。
テレビ局のクルーが街行く人にインタビューしていた。
デパートのある辺りは多少賑わっているかなと思うが、
少し離れるとシャッター街。どこも同じなんだな。


富山の薬売り、池田屋安兵衛商店に入ってみる。
「ズバリ」など昔懐かしい置き薬の他に、ケロリンの風呂桶もあったような。
いや、他のどこかだったかな…
ここは胃もたれに効く「反魂丹」が昔からの主力商品。
店の奥の方で調合を行なっていたように思う。


そろそろ待ち合わせの時間だと富山駅のほうに戻る。
富山城址の前で信号待ちしていたら目の前で、
一台の車が交差点で急停車してそこに次々と二台追突した。
大きな音がして車体がひしゃげた。
三台目に乗っていた女性の表情の変化が忘れられない。シートに崩れ落ちる。
近くのコンビニでお金を下ろしてまた通りがかったら、
ドライバーたちがそれぞれ携帯で電話しつつ、
互いに近づいたり離れたりして状況を話し合っていた。


富山城址の中を通ってみる。
「マンガかになりたい」「サッカー選手」「花やさんになりたい」
子どもたちの夢が刻まれた手作りのプレートが公園内に敷き詰められていた。
後から作られたという天守閣はきれいだけど、とても小さい。
ま、いいかと素通りする。


アパヴィラホテルにて寮の同期・先輩と待ち合わせして、富山の先輩に会う。
先輩の運転する車で職場に案内してもらう。
その後、もう一人先輩と合流して
「えび寿司」で白海老尽くしの燻製・刺身・寿司、
他にズワイガニ、ブリの焼き物(だったか)、などなどうまかった。
桜木町の飲み屋街に移動してスナックに入る。店を出ると午前1時。
皆は他にもう一軒、新しくできたカラオケ・キャバクラに入ったが、
疲れて起源の悪くなった僕は一人先にプイと帰る。西町、荒町と歩く。
浴槽にお湯を入れて入ったつもりが眠ってしまって、午前二時。
皆は朝4時まで飲み続けたそうだ…