谷根千を歩く その4

「よし房 凛」や「根津のたいやき」の隣の煎餅屋で谷根千の地図を配っていて、
それを見ながらたいやきを待っているうちに
「大名時計博物館」に行ってみたいという話がどこからともなく挙がる。
割と近くにあって、じゃあ次はそれにしますか、となる。
不忍通りを離れて坂を上っていく。急に大きな家ばかりになる。
その途中だったか、外国人が多く泊まるという「澤の屋」という旅館があった。
その外のコカコーラの自販機が黒地に白の折り紙が描かれているという特殊仕様。
館主は官公庁の認定する「観光カリスマ」の一人とのこと。
http://www.sawanoya.com/nihonngho.html


坂を上りきって少し歩いた先に「大名時計博物館」があった。
http://taitonavi.jp/enjoy_detail.html?no=335
うっそうと植物の生い茂り、
田舎のじいちゃんちのように雑然と軒下に物が投げ出された古びた邸宅の一棟に
陶芸家、上口愚朗の収集した「大名時計」が飾られている。入場料300円。
あまちゃん」GMT47の寮の外観として撮影に使用されたということで最近話題に。
「大名時計」というのはその名の通り江戸時代のお殿様が作らせた時計。
感覚的にはカラクリに近い。
展示の半分が「櫓時計」かな。
約1mの高さで細長い四角錐の上に時計が乗っかっている。
なぜか皆、そういう形をしている。
円錐の台をパカッと開くと歯車のひとつひとつから伸びたそれぞれ重さの違う錘たち。
時計のひとつは今も動いていて、カチカチカチカチと歯車が回り、
時間が来ると鐘が鳴った。
その他、「印籠時計」というまさに水戸黄門の印籠の形をした時計や
万歩計のようなものもあった。
「香盤時計」は模様のようにお香を敷きつめて、今ここまで燃えたから何時だと知るもの。
原始的だけど、あ、それでいいんだ、何もわざわざ仕掛けを考えなくていいんだ、
というのが上記の「櫓時計」に代表されるカラクリと正反対で興味深かった。
学研のセイコー時計資料館のページを見ると雰囲気がつかめます。
http://www.gakken.co.jp/kagakusouken/spread/oedo/03/haiken1.html
興味深かったのは、最初から「時計」と書いていたのではなくて
土圭、斗鶏、斗景などと書いていた時代があったのですね。
こちら参照。
http://www.geocities.jp/afi_651/japantime4.html
あと、この上口愚朗という方と棟方志功がかなり仲が良かったようで
二人一緒に屈託なく笑顔で写っている写真や棟方志功の書画が飾られていた。


博物館を出て、谷中霊園へと向かう。
途中、地図を見て気になっていた「みかどパンとヒマラヤ杉の巨木」に出る。
ふと見上げるととてつもなく大きな木が住宅地の中にニョキッと立っていた。
枝がビッグバンのように丸く形よく広がっている。
そういえば谷中のあちこちで「ヒマラヤ杉を守る会」みたいなチラシを
窓に貼っている家を見かけた。保護運動が盛んらしい。
http://himarayasugi.yanakatown.org/
「みかどパン」は昭和を通り越して明治時代につくられたという小さな建物。
「ヒマラヤ杉ラスク」があった。この店でしか売ってないだろうな。
その他普通にドーナツや牛乳やカップ麺など。
1枚150円の絵葉書を2枚買う。雪の降るヒマラヤ杉。
不思議と絵になる風景で、調べてみたら
寺山修司が映画『初恋・地獄篇』で撮影に使用したとのこと。


そのまましばらくお寺の多い地区を歩く。
言問通りに出て「喜久月」という老舗の和菓子屋に女性たちは惹かれる。
「あを梅」というお菓子が有名で、かの川端康成も愛したとのこと。
奥には五重塔が飾られていて、花が活けられ、神棚があった。
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13090947/


その通りの角が「カヤバ珈琲」
http://kayaba-coffee.com/
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13019585/dtlphotolst/3/
大正5年に建てられて、昭和13年から喫茶店として営業を始めるも
平成18年に先代の店主が店を畳む。
それを3年後の平成21年に復活させたのだとか。
昭和レトロここに極まれり、といった風情の町家。
なのに中に入るとすっきりと現代風のカフェ。このギャップに驚く。
2階の畳敷きの座敷に上がって
座布団の上に座ってホットの「谷中ジンジャー」を飲む。
寒い中歩いてきたので体が温まる。
本棚には建築・アート関係の本が並んでいた。


一休みして外に出ると
愛玉子(オーギョーチー)」という店があった。
台湾の昔懐かしいスイーツなのだという。
寒天みたいなゼリーに蜜などを掛けて食べる。
http://www.guidenet.jp/shop/2210/


その向かいが、「SCAI THE BATH HOUSE」
http://www.scaithebathhouse.com/
銭湯を改装してつくられたアート・スペース。
気になってたけど日曜が定休日ということで入れず。残念。