『フローズン・ビーチ』

この前の土曜の午後、
急に誘われてリーディングの舞台を見に行くことになった。
日本劇作家協会による


「リーディング・フェスタ2013 戯曲に乾杯!
 ─── 書くのは休んで、今日は語ろう。───
 ドラマリーディング+第19回劇作家協会新人戯曲賞公開審査会」


これの12/14(土)15時からのプログラム
「ドラマリーディングプラス『フローズン・ビーチ
 ── 劇作家DJ部、選曲を考えるひととき」
http://www.jpwa.org/main/readingfesta2013


これまで舞台を見たことはなかったけど
ケラリーノ・サンドロヴィッチ岸田戯曲賞を受賞した作品ということで
名前は知っていた。この機会に触れておきたいと思った。
そしてプラスして、あの大谷能生をゲストに招待して
脚本と演出と選曲について語るという。
これで1,000円なら安いと思った。


場所は高円寺の「座・高円寺」地上と地下にシアターがふたつ。
昔からあるのだろうか? 知らなかった。
地上のは分からないけど、地下のもそれなりの広さだった。
けっこうゆったりした椅子で200人から300人は入れそう。
調べてみたら杉並区の施設とのこと。
http://za-koenji.jp/about/index.html


リーディングを見る。
向かって右側が男性のト書き。
左側に長机があってそのうえにターンテーブル
演出の方がDJとしてレコードをかける。
中央に4つの椅子と机が並んで4人の女優たち。
机からはアームライトが伸びていて、
それぞれ場面に登場している(脚本を読んでいる)間はつけて、
はけると消していた。読み終えるとそのページをバサッと床に投げ捨てる。
4人一斉に。微妙にそれぞれのタイミングで。
これがスタイリッシュでかっこいい。
リーディング、読むだけとはいえ演出ってあるんだなと感心させられる。
フローズン・ビーチ』そのものも笑いあり、ゾッとさせられる瞬間もあり、
さすがだなー、と。
動作の演出や舞台美術の入らないリーディングだったため
ストーリーに入りやすかった。
漠然と目の前に存在するこの世界というものを
いくつかの視点で切り取ってモデル化して
それを階層化して組み立てていく、その方法論について考えるところがあった。
そうか、こうすればいいんだなとヒントがいくつか得られた。
それらいくつかのモデルのぶつかり、せめぎ合う様について。


それぞれ4人の役者がうまかったんだけど、
終わった後で関係している方にお話を聞くと
読み合わせを始めたのは当日、通して読んだのは無しで
ぶっつけ本番だったとか。
それでこれだけまとまるのだから、足腰鍛えられているというか。


本編が終わると第二部で大谷能生氏が登場して演出と3人で
レコードやCDを掛けつつ、トーク
最後の場面にパバロッティの「フニクリ・フニクラ」がかかるんだけど
これが素晴らしい、これ以上の選曲はありえないという話で。
確かに聞いててもそう。
おかしさと悲しさが一体となり、さらにそれを乗り越えていくような。
これが脚本に指定されていたみたいなんですね。
しかし脚本の他の箇所では一言「タンゴ」としか書かれていなかったり。
演出や選曲はそこでどうするかと。
この最後の場面に違う曲を当てはめて何度かくりかえしてみる。
ダーク・ダックスの「フニクリ・フニクラ」であるとか細野晴臣のとか。
替え歌として有名な「おにのパンツ」も飛び出した。
大谷能生はさすがで、
カバーの違いだけではなくて正反対の印象の曲をかけてみたり。
「Oh Timbaland」であるとか。
(別の場面のときだったかもしれないけど)
役者に都度演じてもらいながら曲を変えたのをステージで見るなんて
そうそうない体験というか、僕も最初で最後だろう。
映像でやるのもいいですね、という話も出た。


夜のプログラムはトーク宮沢章夫が登場ということで気になりつつ、
高円寺から帰って来る。
今度はケラリーノ・サンドロヴィッチの脚本そのものを読んでみようと思う。