焼き鳥屋というもの

昨日、根津で焼き鳥屋に入った。
赤提灯というよりはバー。
カウンターだけ、10人も入ればいっぱいの。
僕よりも少しぐらい上、40過ぎぐらいの男性が一人で切り盛りしている。
根津はこういう小さな店があちこちにあるから面白い。


焼き物はどれも小ぶりだったけどおいしい。
うずらの卵はタレにつけてベーコンに巻き、
親指の先ぐらいに丸めたゆかりご飯を豚ばら肉で包んで串に刺す。
最中の中にアボカドディップと和えたささみを詰めたのが看板メニューか。
ちょっとしたアイデアの数々に感心させられた。
聞けば食べることがそもそも好きなのだという。


前はどこかの店で働いていたのかと尋ねると
前職は会社員と聞いて驚く。
7年間こっそり修行していたと。
そうか、その間にしっかりお金を貯めて技術を磨いたのだな。
料理のメニューはそれほどなかったけど、
日本酒とワインが充実していた。
自分で選んでこれと決めたのだろう。
脱サラして店を出すなんて一世一代の賭けだよなあ。
うまくいってほしい。なんだか他人事と思えない。また来よう。


僕もこういう小さな店をやりたい、なんて帰り道思うが、
料理そのものは好きでも
自己流で目分量、何よりもいくつか同時並行でできないという手際の悪さ。
向いてないよなあ。


残念ながら店の名前を覚えていない。
道を一歩上野側に内側に入って、湯島方面へ、
今日は妻とふたり、上野毛の焼き鳥屋へ。
年明けに試しに入ったら余りにもよくて、他を開拓せず今回が2回目。
こちらのうずらの卵は半熟なんですよね。
モモもハツもツクネもしっとりと柔らかい。


串に刺す、ってのが魔物だよなあなんて思う。
3つか4つ同じものを。
あるいはネギマのように交互に刺したり。
組み合わせが決まった時、そこにはひとつの小宇宙が生まれる。
串カツしかり、焼き鳥しかり。
何よりもあの短さがいいのだろう。
バーベキューの串のように際限なく長いといいというものでもない。
あの長さに日本らしさがある、とすら思う。