『岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』

センバツ初日、第一試合。
何の因果か九州学院(妻の実家:熊本)と八戸学院光聖(夫の実家:青森)。
「悪いけど、青森が勝つよ」と豪語して、その通り順当に勝つ。
専制はされるものの、終盤に大量点。
次は春夏連覇を狙う大阪桐蔭なんですよね… 大金星はあるのか。
朝から缶ビールを飲みながらポテチで観戦、という贅沢。
そしてバックネット裏には当然のようにラガーさんがいた。


妻の実家から送られてきたとんこつラーメンを茹でて食べる。
麺を茹でるために鍋に沸かしたお湯でまずはキャベツを。
他はネギとゴマと紅ショウガ。うまかった。


世田谷文学館で開催されている岡崎京子の回顧展
岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』を見に行く。
今月31日まで。ようやく滑り込む。
バスに乗って行こうとしたら時間を間違えてちょうど行ったばかり、
砧公園の入り口のバス停まで歩いていった。
千歳船橋から京王バスに乗り換えて千歳烏山に向かう途中の
「芦花恒春園」で下りて5分ほど歩く。


96年に交通事故に遭って以来、20年近く。
『Pink』や『リバーズ・エッジ』は定期的に再評価されるし、
ヘルタースケルター』も映画化された。
ひとつの時代の伝説として新しい世代のファンが今も増えているのだろう。
予想通り混雑していた。
世田谷区下北沢に生まれ育った岡崎京子のレトロスペクティヴとして、
小さなハコだけど世田谷文学館はありだな、と思った。


全体を
Prologue『オンナノコ考現学
Scene 1『東京ガールズ、ブラボー!!』
Scene 2『愛と資本主義』
Scene 3『女のケモノみち』
Scene 4『平坦な戦場』
と5つに分けて、そこに前掲の3作や
『唇から散弾銃』『うたかたの日々』などの代表的な作品の原画が展示され、
そこに年代順の様々な仕事が挟まる。
デビュー前の同人誌。『anan』の小沢健二特集。
ベラ・ヒティロヴァ監督の『ひなぎく』を再上演した際のパンフ。
ニコルソン・ベイカー『もしもし』の表紙。
CREA』のガーリーなエッセイ漫画などなど。
岡崎京子がこの世に残した全てを網羅しようとしている。


一番感慨深かったのが冒頭のクロニクルで
バブルの台頭や渋谷系といった世相と発表した作品が交差する。
仮面ノリダー始まる」とかそういうの。
そうだ、1994年は『リバーズ・エッジ』が発表された年であって
僕は上京2年目でリアルタイムに読んだ。
そういうことのひとつひとつ。
2010年のところに「小沢健二のコンサートを見に行った」とあったのが切なかった。


最後に、「ありがとう、みんな。」というメッセージが壁に大きく書かれている。
これはここ数年トレーニングを続けているという視線追跡の技術による入力装置が用いられている。
どんな解説を読んでも現在リハビリ中とあるけど、もはや漫画を書くことは無理なのだなと思う。
このメッセージが何よりも今回最も見る価値のあるものだった。
途方もない絶望とそれでも前に進まなければならないというわずかばかりの希望。


カタログは岡崎京子アンソロジーとしては決定版だろう。
これ以上のものが世に出ることはないんじゃないか。熱量が違う。
加藤賢崇手塚眞宮沢章夫BIKKE穂村弘桜沢エリカ安野モヨコしまおまほ
ホンマタカシよしもとばなな小沢健二村上隆サエキけんぞういとうせいこう
など、ちょっとありえない面子が寄稿している。


夕暮れ、バスに乗って帰る。
砧公園からボーイスカウト帰りの子どもたちが乗ってきた。