コーヒー・アクシデント

朝、家を出る。鞄が妙に温かい。
ふと見ると鞄の縁から茶色い液体がポタポタと漏れている。
サイドポケットに入れていたステンレスマグの蓋が開いていた!?
えー 閉じたはずなのに。ゆるくなってたのかな。
引き返すべきか。いや、他に替えの会社鞄はないし。
何をどう対処するかアイデア思いつかず。
ティッシュであちこち拭きながら、そのまま行くことにした。


確認しながら歩く。鞄の中も多少湿っている。
幸か不幸かサイドポケットに同じく入れていた
折り畳みの傘が多くを吸収してぐっしょりとなっていた。
改札をくぐってホームに立つ。まだポタポタと落ちてくる状態。
電車に乗り込んで床に置いた。
じんわりと床に染み出すことはなかったものの
持ち上げて位置を替えると床が少し湿っていた。


大岡山で乗り換えて三田線に乗る頃には
出し切ったのかこぼれてくることがなくなった。
ほっとする。そのまま床に置いて神保町へと向かう。


駅に着いて地上に出て、コンビニで一番安いハンドタオルを買う。
財布を出したらお札がジメジメと濡れていた。
オフィスで鞄の中を拭いた。
思っていたよりもダメージが大きい。
ステンレスマグを入れていたサイドポケットの裏側は全滅。
整理せずに放り込んでいたままの名刺や
母からもらった手紙、箱根神社でもらったお守り。
乾かせるものは乾かし、この際捨てていいものは捨てた。


妻と LINE でやりとりする。
キッチンの椅子の上に鞄を置いていたのでクッションがぐっしょり濡れていた。
床にもコーヒーのこぼれたあとが。


今回のことで一本物語が書けるね、となる。
タイトル案を出し合う。


「百年の珈琲」
「失われた珈琲を求めて」
「時計仕掛けの珈琲」
「2001年珈琲の旅」
ハリー・ポッターと3杯のコーヒー」


「世界の珈琲とハードボイルド・ワンダーランド」
ノルウェイの珈琲」
「1珈琲84」 ←なんかこれがすごい、となった。