入院 13日目

『二列目の人生』を読み終えた後、『GREEN』へ。
『のだめ』の方が100倍面白いかな。


6時前に起床。
体温、血圧ともに手術前に戻っている。
血圧は110台。看護婦の方が計らなかったのでロビーで自分で計ってみた。
この日は昨日に続き、採血などの予定なし。
明日の検査待ち。


『幻のアフリカ』100ページを朝食前にあらかた読み終える。
儀式の様子をリアルに記述するトランス的な雰囲気の箇所はこちらも乗ってくる。


朝食。塩鮭、味噌汁、ブドウ、ヨーグルト。
食べ終えて歯を磨き、下に水を買いに行く。


10時に散歩がてら1階の広場へ。ベンチで『老子』を読む。
こんな時に合うかと思いきや案外そうでもなかった。
空は分厚い曇り。降りそうで降らない。
看護婦の方に後で聞くと台風は関東地方を逸れるようなルートになったのだという。


昼、選択シートで「山菜そば」を選んだはずでそれを楽しみにしていたら
でてきたのはもうひとつのほう。「ポークソテーキノコソース」
この俺がキノコを自ら選ぶとは思えないのだが、。一瞬の気の迷いがあったのか。
山菜そばそのものはさして食べたかったわけではなかったけど
副菜が野菜の寄せ揚げで、これって野菜天なんじゃないかと。つまり天ぷらそば。
同室の方が食べていたのでちらっと見たらさつま揚げのようなものだった。残念。
ポークソテーそのものはなかなかおいしく。
白菜、きぬさや、油揚げの煮ものと青菜のわさび醤油和えも付いて
腹持ちがよかったのはやはりこちらの方か。


午後、村上龍『テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド』を読み始める。
1985年から1986年にかけて4大大会やモナコでの大会を回った時のノンフィクション。
バブルはまだだけど、冷戦は知らないうちに終わりに近づいていた。そんな時代。
村上龍も合間合間にうまいもの食って最新のクラブに繰り出して、ドラッグを決めて、
そんなことばかり書いている。
10代後半のステフィ・グラフとボリス・ベッカーが世界を席巻しだした頃。
絶対的なチャンピオン、イワン・レンドルをとことんこき下ろし、
フランスのアンリ・ルコントチェコスロヴァキアのハナ・マンドリコワに肩入れする。
僕は中古で買ったんだけどコートや試合の写真が豊富、持っていて嬉しい本。
これも1階の広場で大半を読み終える。


昨日同様ペットボトルの温かいお茶を買って飲む。
妻が持ってきてくれた隆慶一郎吉原御免状』を読み始める。
編集学校で最近「離」を終えた人は皆、こぞって読むという。
よくわかる。網野善彦のいわゆる網野史観をそのまま歴史書にしたもの。


これまで夕方に熱が上がっていたのが今日は出ないかなと思いきや、
夕食前、18時前から夕食後、19時過ぎまで37℃台だった。
その後またサッと下がる。
明らかにこれまでより時間帯の範囲が狭まっている。
このところの回診も、かつては
「痛みはありますか? 熱はありますか? 変わったところはありませんか?」
だったのが、御引止めしてすみません、という感じになってきている。
今日は仕事について聞かれ、IT関係ですと答えると
「ああ、じゃあ重いものを持つことはないですね」と。
なんだか退院後の話が徐々に。


夜は煮込みハンバーグ、里芋・蓮根・ゴボウ・鶏肉の煮もの。
白菜のおひたし。


妻は「カザフスタン共和国アスタナバレエ団」の初来日公演を見に行く。
抽選で3,000名を無料招待と地下鉄の吊革広告で見かけて、申し込んだら当たった。
しかし入院で行けなくなり…
攻めて妻だけでもと。
一緒に見に行ってくれる人も、直前だったけど見つかったようだ。


20時半、最後の枠でシャワー。
点滴も抜けてすっきり浴びることができた。
吉原御免状』の続きへ。