入院 14日目

14日目。これで2週間か。
5時半起き。空が晴れている。ところどころ雲がかかっている。
熱も上がらず、血圧も低い。


『幻のアフリカ』もこれで8割方読んだ。
吉原御免状』へ。この日ずっと読んでいるが、
前半は面白かったのに後半はさほどでもなく。
奇想天外な着想を言葉にするのに忙しく、
ストーリーもキャラクターも置いてけぼりとなる。
しかも日本史にそんな闇があったとは、という箇所は他で既に学んでいる。


採血。CTスキャンのため朝食抜き。
回診の先生が一人だけ来て「そろそろ退院だね」という。
その後週に一度なのか上から下まで大勢の先生による特別な回診。
若い先生が iPadCTスキャンの画像を見せながら
とても偉い先生にこれまでの経過を一言で説明。
脾臓を摘出して、××××が原因で、先週末血栓ができてと。
やはりそこでもそろそろ退院だと。


ここ2日間点滴の針を入れていなかったが、CTスキャンのために改めて入れる。
10時に呼ばれて1階へ。
終わって、取っておいてくれた朝食が温められて出てくる。
大根おろしを添えた卵焼き、ごはん、味噌汁、ひじきの煮物、オレンジ2切れ、ジョア
12時になって昼食。引き続き食べる。
ごはん、グラタン、サラダ、すまし汁。


点滴の針を抜いてほしいと看護婦の方に頼むが、自分の一存ではどうにもできず。
先生に確認しなければいけないがなかなかその時間も取れないようだ。
しかしこちらも使わない針が固定されているというので落ち着かず。
気を取り直して気晴らしに外に出る。
今日の最高気温は30℃を超えるという。
いつものベンチで本を読んで帰ってくる。


夕方、回診。
血液検査の結果はよかったが、CTスキャンの結果血栓はたいして改善されず。
土曜の昼前に妻を呼んで現在の病状について説明を受けて
退院について話し合うことになった。


吉原御免状』を終えて
蓮實重彦武満徹による『シネマの快楽』を読み始める。
ゴダールタルコフスキーなどの作品を取り上げての対談。80年代半ば。
蓮實重彦ってこれまで何読んでもよくわからなかったけど
そしてそれは誰のために何を言ってるのかわからないってことなんだけど
この本だと話す相手が決まっているのでとても分かりやすい。


夕食。魚の南蛮漬けと回鍋肉風キャベツ・豚肉炒め。
3日ぶりに妻が見舞いに。着替えなど受け取る。
デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』
久住昌之『食い意地クン』を持ってきてくれる。


簡単に髪を洗い、『シネマの快楽』の続きへ。