退院 7日目

6時起き。朝から雨。
外出はしないで一日家の中で過ごす。
柿を剥いて食べる。コーヒーを沸かす。
新聞を読む。遡っていって今は 9/26 手術の頃。


午前中はハンナ・アーレントイェルサレムアイヒマン』を半分読む。
僕も岩波ホールに『ハンナ・アーレント』を観に行ったので概要は知ってたけど、
このアイヒマンという男、徹頭徹尾つまらぬ小役人のまま。
ユダヤ人をアウシュビッツその他の収容所に鉄道で「移送」した責任者とはいえ、
当人は国家(ライヒ)の法律や総統(ヒットラー)の指示に従っただけ。
むしろシオニズムへの理解があって、
「移送」が本格化するまではドイツ圏からの「移住」を推進していたという。
逃げのびてアルゼンチンでひっそりと暮らしていたのを捕えられて
イスラエルに連行され、裁判を受ける。
そこにいたのは悪魔のようなモンスターではなかった。
しかしそうであることを期待された。そのようなものとして判決を受けた。
いろんな意味で恐ろしい話だ。アイヒマン自体が正しいということではなくて。
とてつもなく大きな邪悪なものに巻き込まれてアイヒマン自身も犠牲になったが、
そのアイヒマンが同時にその邪悪なものに当人が望もうと望むまいと加担する。


青森から荷物が届く。
ホタテのカレー、インスタントのしじみ味噌汁、利尻昆布の出し汁、「青天の霹靂」の新米。


昼、蕎麦を茹でて食べる。
ストーンズのライブDVD、今日は1981年のマディ・ウォーターズとの共演。
ミック、ミース、ロニー、ステュの4人。ビル・ワイマンチャーリー・ワッツは不在。
途中からバディ・ガイやジュニア・ウェルズも加わる。
ものすごく狭い小屋でマディ・ウォーターズのバックバンドも加えると
総勢10名以上となり、身動きも取れない。
ギターだけで4人いたり。ギチギチの中で演奏する。なのにそれがいい。
思わず見入ってしまう。
ミック・ジャガーのヴォーカルは借りてきた猫のようにうまくはまらないが、
サポートに徹するキースとロニーのギターはさほど違和感なく溶け込んでて。
でもやっぱマディ・ウォーターズですよ。
何十年もブルースを続けてきて何度も浮き沈みある中で漂わせるおおらかな凄味というか。
にこやかに立ってるだけでステージがビビビッと引き締まる。
ギターも単純なようでいて、ためが効いていて鋭い。


レディー・ガガ『ARTOPOP』の特典ライヴDVDを流し見。
iTunes Festival 出演時のもので、『ARTOPOP』の曲を演奏。
1曲ごとに衣装を変えて下着もウィッグも変えるところにさすがやなあと思っていたら
後半素顔で歌いたいとウイッグを外して、表現の苦しさについて心情を吐露。
でもまあやっぱマドンナのライヴDVDの後で見ると二番煎じ感が否めない。


ローザ・ルクセンブルク『お蔵だし vol.4』のDVDも見る。
1st アルバム録音時にビデオカメラを回したもの。どんとの髪が長い。


夜は仙台で買った牡蠣の潮煮でパスタ。味付けは煮汁のみ。
昨日妻が dean & deluca で買った野菜をサラダにして食べる。え
オリーヴオイルと塩だけ。


テレビをつけるとBSで吉田類の『酒場放浪記』
一話終わってそのまま見ていたら二話目が…
再放送で四話連続だった。住吉や田無の店。
見てると酒が飲みたくなる。
退院の時、食べ物は特に制限ありませんという話だったけど
実は酒は飲んでもよかったのか。
それとも言わずもがな当面ダメなのか。