8時起き。
何度か目を覚ましたが起きられず。
5時半に鳴らす家の目覚まし時計を止めるのを忘れてきた。
妻は全く起きる気配がない。
カーテンをそっと開けると大粒の雪がまっすぐに下りてきている。
大浴場に入りに行くと露天風呂は大雪。風の冷たい中、お湯に潜り込んだ。
戻ってきて9時半に妻を起こす。
昨晩つまみにするつもりだった浅漬けを食べる。
なんとはなしにテレビをつけるとNHKの将棋の番組。
昨日あれだけ飲んだのに今日は二日酔いになっていない。
いい酒をゆっくり飲んだからか。
11時のチェックアウトギリギリまで部屋で過ごす。
フロントで荷物を預ける。
ホテルの前に「フォーラス」というファッションビルがあって、一階を通り抜ける。
「ツモリチサト」「DIESEL」「VIA BUS STOP」「marimekko」など。東京と遜色ない。
一方、隣の「Rinto」という駅ビルには「Bleu Bleuet」「中川政七商店」「URBAN RESEARCH」
「FRANCfranc」「john masters organics select」など。
一か所にこういうの集まってるの、便利だろうな。実際若者たちを中心に客が多い。
東京化しているというよりも、金沢もまた日本の中でもいくつかしかない
ある種の基準に到達した都市であって、東京がその象徴なのだということ。
広い駅の反対側には「あんと」別名?「金沢百番街」という金沢、北陸名物の店を集めたエリア。
海産物、寿司、佃煮、和菓子、生麩、漆器、金箔など。
一か所に集中しているのも観光客にとってはありがたい。
奥には飲食店が集まっていて、有名なおでんの店「黒百合」に入る。
11時過ぎだというのにほぼ満席。
おでんはすじ肉煮込み、シュウマイなどまだ仕込み中のものが多く、
頼めたのはじゃがいも、天玉、焼き豆腐、大根など。
じゅわーっと優しい味がしみこんでいる。
おでん以外は白山堅豆腐の天ぷら、焼油揚。
金沢はおでんとこの堅豆腐も名物なんですね。
飲んだのは「花伝」と「穂の香ほんのり」
どちらも400円しない。石川の人たちが普段飲む酒とあって、
これら確かに変な主張はなく、グイグイ行ける。
壁には額が掛けられていて、
「今日を忘れる酒は苦い 一日を語る酒は旨い」とあった。
奥の方に「金沢地酒蔵」があって、その名の通り金沢の地酒が買える。
バースタンドも併設されている。
金沢美術工芸大学の学生たちが造った酒「Chikuha N」を買いたかったが、
ここには売っていない。
「めいてつエムザ」の酒屋にあるらしいと聞いていたので行ってみようと。
歩いて10分ぐらいなので晴れていたらすぐなのに、今日は大雪。
バスに乗っていく。だいたいの路線がエムザ、その向かいの近江町市場の前を通る。
市場の前で下りて、まずは地下のトイレへ。
「チャンピオンカレー」を初めとしていくつかの飲食店と大半がマツモトキヨシ。
あれば確かに便利なんだろうけど、昔は市場の店が入っていてそれが撤退したんだろうな。
ぽっかり空いた穴を東京のチェーン店で埋める。なんだか寂しい。
市場を歩く。多くの観光客が行きかう。
のどぐろや真鯛、鰤、そして箱に入ったずわい蟹。
昨日の寿司屋の大将は最近の近江町市場は今一つだと語っていたが、
観光客が歩いて眺める分には面白い。
寿司や海鮮丼、おでんの店も並ぶ。
入り口に餅屋があって、妻が塩豆餅の入ったぜんざいを頼む。
僕らのあと、カップルたちが次々に頼んでいく。
外は雪。甘い小豆に、塩豆の塩加減。身体が温まった。
奥の方に行くとかなり寂れていて、シャッターの閉まっているところが多い。
外れの方は人気が全くなかった。ここもまた昭和のまま時間が止まっていた。
エレベーターが「バナナ」とか「うし」とか名前が付けられている。
果物エリアとか精肉エリアということなんだろうか。
試しに乗ってみると上の階は駐車場だった。
再度地下へ。せっかくだから金沢カレーが食べたいと「チャンピオンカレー」に入る。
LカツカレーのSサイズ。最初のLはカツの厚さを指す。
金沢カレーというとゴーゴーカレーとか真黒でコクのあるものを思い浮かべるけど
ここのは茶色くてマイルドだった。普通においしい。
しかし後で調べたら東京にも何店舗か出ていた。
地下通路を渡ってエムザへ。
1階の酒屋で「Chikuha N」を見つけることができた。
バスに乗って駅に戻る。
「金沢地酒蔵」で「神泉」の純米酒を2本買う。
自分たちが飲むものと、いつかホームパーティーで飲むものと。
時間があったのでバースタンドへ。
妻は「本日のお試し3銘柄 華 加賀セット」で「加賀の峰 」「高砂」「獅子の里」
これは他に石川セット、金沢セット、能登セットとあって、
ランクももうひとつ上の雅があった。
例えば雅の石川セットだと「春山」「兼六正宗」「加賀鳶」など。
僕は三杯のお試しセットではなく一杯で
先ほど買ったばかりの「神泉」を飲んでみることにした。こちらは醸酒の方。
辛口に分類されるけど、ラベルを読むと旨み成分によって甘口に感じられると。
確かにその通りでキリッとしていた。
「金沢百番街」の天狗ハムにて新幹線のつまみにと
ポークジャーキーと能登牛ポテトスティックを買う。
駅を出て隣の「フォーラス」にあるタワレコをちょっと覗いていた後で
ホテルに荷物を取りに行く。
少し時間があったので駅の2階のスーパーマーケットに入ってみる。
金沢の野菜を売っている。妻が金時芋チップスを買う。
新幹線に乗る。かがやき530号 金沢15:52発、東京18:28着。
指定席のみ、全席発売済み。
昨晩飲めなかったワンカップの「福正宗 旨口」と「手取川 山廃仕込 辛口」を飲む。
飲み足りなくなって、というか金沢が名残惜しくなって、
ワゴン販売の「加賀鳶 極寒純米 辛口」のアルミ缶を買う。ホタルイカの燻製も。
富山の田んぼに薄く降り積もった雪を眺めながら飲む。
長野を経て、軽井沢に着くころには空が暗くなっている。
途中うとうとしながら、穗村弘『絶叫委員会』を読み終える。
夜食べようと崎陽軒のシウマイを東京駅の地下で買って帰る。
丸の内線に乗る。中野坂上で乗り換えて大江戸線。
妻とは金沢にはまた行きたい、富山にも行きたい。
そんな話をする。