先日、都築響一『夜露死苦現代詩』という本を読みました。
死刑囚の俳句、餓死した老婆の日記、点取り占いなど
いわゆる現代詩として扱われることはないけれども
日本語として独特な強さとフォームを持った言葉たちを集めています。
その中に「夢は夜ひらく」が取り上げられていて
大ヒットした藤圭子による「圭子の夢は夜ひらく」が一番有名なんじゃないかと思いますが、
同じように「○○の夢は夜ひらく」というタイトルで
五木ひろしや八代亜紀など無数のカバーがあります。
そしてそのそれぞれに独自の歌詞がつけられていて、JASRACには20曲以上登録されていると。
歌って本来、わらべ歌であるとか、
広まるうちに地域や時代で歌詞が変わっていくものだということを思い出します。
今回の「ジパンク」としては70年代初めの三上寛のものを、と探していたら
最近のものとして一青窈と一緒に歌ったものがありました。
夢は夜ひらく/一青窈・三上寛
https://www.youtube.com/watch?v=OoduTLe_3CA
青森出身でありながら、恥ずかしながらこれまで三上寛は一切聞かず。
寺山修司のアングラには手を出せても三上寛はもっとやばいもののようで。
(丸坊主の山下清的な風貌が誤解を生むのかもしれない)
青森でもコアなファン以外、今や好んで聞かれることはないでしょうね。
先日、一回り下の若い子に知ってるか聞いたらきょとんとされました。
あるいは知ってても伊那かっぺいのように「方言でなんかやってる人」と思われているか。
なんだかもったいないですね。
秋田出身の友川かずきと並んで、今に至るまで50年近く歌い続けている
(というか魂の叫びをぶつけ続けている)
というのはもっと評価されていいんじゃないかと思います。
灰野敬二と組んだり、山下洋輔のフリージャズでアルバムをつくったりと
日本の前衛ロックを担い続けた地下水脈の一人でもありました。
個人的には青森市の「だびよん劇場」での1977年のライブアルバムが心に沁みて。
僕は行けずじまいでしたが、小さな小屋だったみたいですね。
男一匹ギター一本でステージに立ち、すぐ目の前の観客と津軽弁を交えて交わす。
津軽の人にとって太宰治で何が一番好きかと聞かれたら『津軽』と応えるようなものですね。
時代が違っていても、その土地に住んでいたから皮膚感覚でそれが何かわかる。
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他の「夢は夜ひらく」だと宇多田ヒカルが歌ってたのかな。
google でも youtube でも検索候補に挙がるけど youtube では見つけられず。
実際はどうなのだろう。
Soul Flower Union の「ソウル・フラワーの夢は夜ひらく」も残念ながら見つからず。
出てきたのは吉井和哉の数年前のライブ。
(The Yellow Monkey はとても好きですが、パンクというとさすがに違うかな。今回かけられず)
吉井和哉ってこういう水っぽい歌謡曲がよく似合いますよね。
ここのところが根っこのひとつにあるからイエモンは長く聞けるのだな、と思います。
吉井和哉 - 「夢は夜ひらく」
https://www.youtube.com/watch?v=IMUGH575G-8